元々は証券業界の用語”詰める”が語源!?「激詰め」の正しい意味と使い方

広辞苑にも載っていないビジネス用語”激詰め”とは?

「いや~昨日は上司に”激詰め”されてさぁ~(遠い目)」

巷でよく聞く”激詰め(げきづめ)”。みなさんはこのビジネス用語を聞いたことがありますか?

なんだか語感がカッコいいし、みんな使っているし、彼女の前で”激詰め”なんて言葉を使うと意識高い系やデキるビジネスパーソンに見えなくもないので、「ぜひ機会があれば言ってみたい」と虎視眈々と”激詰め”を使う機会を狙っている大学生や若手社員も多いのではないでしょうか?

でも”激詰め”はビジネススラングであり、広辞苑などの辞書にも載っていないので、意味や使い方に自信がない人も多いはず。そこで”激詰め”にはどんな意味があって、どのように使われているのかを調べてみました。

実は”激詰め”、本来は想像以上に怖い使われ方をしていたんです……。

元々は証券業界の用語”詰める”が語源!?「激詰め」の正しい意味と使い方

マジ”激詰め”されて困っちゃうよ


“激詰め”ってどんな感じで使われているの?

現在、”激詰め”という言葉はSNSなどのネット上で多くの人に使われ市民権を得ています。ネット上では「いや~昨日は上司に”激詰め”されてさぁ~」なんてフレーズが、そこら中に飛び交っています。

まずは、現在どのようなシチュエーションで”激詰め”という言葉がよく使われているかを確認してみます。主に次の二通りの文脈で”激詰め”という言葉が使われているようです。

① 「理詰め」で質問攻め→”激詰め”

“詰める”という言葉には《十分に検討し尽くして物事の決着がつくようにする》という意味があります。例えば「理詰め」であったり「話を詰める」という言葉には、この意味が含まれていますね。

ですから上司や取引先に「理詰め」で質問攻めされた場合に「いや~昨日は上司に”激詰め”されてさぁ~」となるようです。

この”激詰め”の例を見てみましょう。

“激詰め”の例 ①

若手社員:「(ベンチャー企業の)A社のアプリってイケてますよね~」

上司:「え?A社のビジネスモデルは?キャズムは超えそうなの?財務面もイケてるの?単黒はいつ出せそうなの?マネジメントは?もしかして、そういったことがわからないのにイケてるって言ってんの?(ドヤッ」

銀行やコンサルティングファームでありそうな風景ですね。このように上司から論理的で定量的な回答が求められるような質問を、ドヤ顔で波状攻撃がごとくされた際に「いや~昨日は上司に”激詰め”されてさぁ~」となるようです。

SNSなどのネット上で、こういった背景を経て使用され、意識高い系の香りがする”激詰め”に出会った大学生や若手社員は、「よーし俺も明日から”激詰め”を使うぞ」と隙あらば”激詰め”を使う機会を伺っているのではないでしょうか。

しかし、これはかわいい”激詰め”。”激詰め”にはもう一つの使われ方があるので注意したいところです。

② 体育会系の企業カルチャー→”激詰め”

もう一つはブラックな体育会系の企業カルチャーを持つ会社で行われる”激詰め”。特に営業関連の部署で目標数値に達していない場合に行われるものです。この”激詰め”の例は……。

“激詰め”の例 ②

「(ため息)お前さぁ、口でハイハイ言っても、結果を出さなきゃ意味ねーんだから。結果ってのは何?契約件数だよね?(深いため息)で、お前、今月の契約何件だっけ?うん?何件だっけ?あれ、何件だっけ?ねえ、何件だっけ?」

こちらも”激詰め”。ネット上では、こちらのほうが一般的なようです。

ですから、安易に彼女や友人の前で「いや~昨日は上司に”激詰め”されてさぁ~」とポロっと使ってしまうと「え、もしかして俺君はブラック企業体育会系の会社に勤めてるの?」と余計な心配をさせてしまう可能性もあるのです。

ネット上ではいつから”激詰め”が使われるようになった?

ネット上ではいつ頃から、そして誰が”激詰め”を使い始めたのでしょうか?その辺りも調べてみました。

Google先生で調べたところ、ネット上での初出は2000年あたり。しかし2000年代にはそれほど多くネット上で”激詰め”を見ることはできず、2011年、2012年あたりから急激に使われ始めているようです。

誰が使い始めたのかについてはわかりませんでしたが、どうも証券業界や通信業界の一部で使われていた業界用語である可能性が高いようです。

“激詰め”は証券業界の業界用語”詰める”が語源?

元々、証券業界には”詰める””詰められる”という業界用語があるそうです。営業ノルマが未達の社員に対して行われる叱咤なのだそうですが、ネット上の情報を読むかぎりは、体育会系の企業カルチャーを持つ会社で行われる”激詰め”以上のハードさを感じます。

“激詰め”の語源”詰める”の例

ネット上の情報を総合すると、”激詰め”の語源である”詰める”の例は以下のようになるようです。

“詰める”の例

「お前さぁ、また今月未達?お前のすみませんはもう聞・き・飽・き・た・ん・だ・よ。なんでできてねーの?お前、できるって言ったよね?嘘ついたの?嘘ついちゃったの?つーか何で昼飯なんか食ってんだよ!あぁん?」

あわわ…、怖いです。営業ノルマを達成できなければ、昼飯も食ってはいけないらしいです。実に理不尽です。詰められる”側が今にも泣き出さんばかりに唇をかみしめている様子が目に浮かびます。ちなみに証券業界では、”詰められる”ことで退社を決意することも少なくないのだとか。

体育会系の企業カルチャーを持つ会社のさらに上を行く理不尽な叱責、言われることで退職を考えたり精神を病むこともある……。どうやらこれが”詰める”ことなんだそうです。

あぁそうだ、大事なことを書き忘れていました。”詰める”という言葉には《身動きできないような状況に追いこむ》という意味もありました。「詰問」なんて言葉もありますね。

“激詰め”が広まるにつれ使用範囲も拡大?

ここからは想像ですが、おそらく証券業界で使われていた”詰める”が”激詰め”に変化。そして2000年代に入って営業ノルマの厳しい通信業界の一部で使われるようになり徐々に浸透。さらにネットを通じてブラック企業体育会系の企業カルチャーを持つ会社での叱咤に対して”激詰め”が使われるようになりビジネススラングとして定着。2010年代に入ってSNSで”激詰め”が多用されることで、一般的に用いられる言葉になったのではないかと思われます。

また先ほども書いた通り、元々”激詰め”の語源となる”詰める”の内容は相当理不尽な内容だったようです。しかしネット上やSNSでの”激詰め”の使われ方の変化を見るかぎりは、”激詰め”が広まるにつれ使用範囲も拡大しているような印象を受けます。

ですから、それほど理不尽さのない、上司から論理的で定量的な回答が求められるような質問を「理詰め」で波状攻撃がごとくされた場合の”激詰め”は、意外と最近の用法なのかもしれません。

さらに、単に上司や親から注意をされただけでも”激詰め”と表現しているような例もあり、”激詰め”の対象となる範囲はさらに自由度が高くなってきているようです。

“激詰め”の辞書的意味を考えてみた

広辞苑にも載っていない”激詰め”。せっかくなので”激詰め”の辞書的意味を考えてみました。

“激詰め”の定義》

ビジネスシーンでの上位役職者による激しい叱責ならびに恫喝に近い要求、および理不尽な詰問。時として上位役職者のストレス発散や非人間的な企業カルチャーの刷り込みを目的に行われることもあるため、退職を考えたり精神を病むビジネスパーソンもいる。

いや~ビジネス用語って面白いですね!

※本記事は2015年12月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。