手紙・メールの名前の後ろについている「拝」ってどんな意味があるの?

手紙やメールの末尾で、名前の後ろに用いられる「拝(はい)」という文字。みなさんは見たことがありますか?


手紙・メールの名前の後ろについている「拝」ってどんな意味があるの?

《名前+「拝」》?

みなさんは手紙やメールの末尾で以下のような表現を見たことがありますか?

(本文)
以上、何卒よろしくお願いいたします。

〇×出版社 △〇事業部
山田 太郎 拝

と、差出人の名前の後ろに「拝」という字をつける 《名前+「拝」》の表現です。なんだかかしこまった感じがするのですが、いったいこの「拝」にはどのような意味があるのでしょうか?

「拝」にはどのような意味があるの?

「拝」の字を用いた熟語には「拝見」「拝聴」といった言葉があります。これらの言葉で用いられる「拝」には、「謹んで」という意味があり「見る」や「聴く」といった言葉に対して謙譲や丁寧といった敬意をつけ加えます。

そして、名前の後ろにつける「拝」の一字も同様の意味を持つとされています。

「拝啓」「敬具」と同時には用いない《名前+「拝」》

《名前+「拝」》は、昔から手紙で用いられていたやや古風でかしこまった表現です。手紙における《名前+「拝」》は、「拝啓」「敬具」ではなく「前略」「草々」とした場合や、これらの表現を省略した場合に相手に対し敬意を表すために用いられてきました。

すなわち、「拝啓」「敬具」ときちんと表記する場合には《名前+「拝」》の表現は不要となるのです。

このような手紙での表現方法が転用され、現代において「拝啓」「敬具」と表記することがなくなったメールにおいて、《名前+「拝」》の表現が用いられるようになったとされています。

様々なバリエーションがある「拝」

「拝」の使い方には様々なバリエーションがあります。

① 《名前+「拝」》

一番基本的なのは上の例にもある《名前+「拝」》のパターン。《名前+「拝」》であれば、もちろん目上の方に用いても失礼はありません。

余談ですが、山田洋次監督の名作「男はつらいよ」シリーズの劇中でも、”フーテンの寅さん”こと車寅次郎が旅先から家族に手紙を書く際に《名前+「拝」》を用いているシーンがよく登場します。

車寅次郎 拝

② 《名字+「拝」》

一方、《名字+「拝」》のパターンもあります。こんな感じです……。

山田 拝

友人や知人など、何度も手紙やメールをやり取りしている間柄であれば、このような《名字+「拝」》の使われ方もあります。

友人や知人に対して差出人の部分に名字だけを書く人も多いかもしれませんが、かしこまった内容の場合には、このような表現を用いてみてもいいですね。

ビジネスメールで何度か連絡を繰り返す際にも、このような《名字+「拝」》の表記になることがあります。

③ 《下の名前+「拝」》

それから《下の名前+「拝」》のパターンもあります。

太郎 拝

家族に対する手紙やメールの場合には、このような《下の名前+「拝」》といった表現もできます。

お父さんやお母さんに感謝の手紙を贈る際などに使ってみると、ドキッとさせることができるかもしれませんね。

ビジネスメールで自分の名前の後ろに「拝」とつけるのは一般的なの?

ビジネスメールで自分の名前の後ろに「拝」とつけるのは一般的なのでしょうか?あくまで個人的な意見を述べると、年代や業界によって少し偏りがある印象を受けます。

《名前+「拝」》の表現を使っているのは、全般的に比較的年配の方や上位役職者に多いのではないでしょうか。20代・30代のビジネスパーソンであるなら、伝統のある業界で慣習的に用いられているものをテンプレート的に用いているようにも感じられます。

私自身がはじめてこの表現を見たのは、出版業界の方とメールのやり取りをした際です。以後、どのような業界のビジネスパーソンがこの表現を用いるのか注意して見るようになったのですが、やはり広告業界や新聞業界など出版業界と隣接する歴史と伝統のある業界で慣習的に用いられているようです。

出版業界などのように伝統のある業界では《名前+「拝」》の表現が手紙などで昔から慣習的に用いられていて、メール時代になって隣接する業界へと広まっていったと予想することもできます。

ちなみに知人に聞いたところによると、官公庁などでも《名前+「拝」》をよく見るとのこと。

当然ながら出版業界や官公庁などに関係のない20代・30代のビジネスパーソンがこの表現を用いても何も問題なく、むしろ《名前+「拝」》の表現を用いたメールをもらったら(あくまで個人的な主観ですが)、なかなか知的な印象を受けます。

女性が《名前+「拝」》を用いることに対して(女性が使うには堅苦しいのではないかなど)抵抗を示す人も中にはいるようですが、特に問題はないでしょう。

「拝」は「御机下」の対の表現として用いられることもある

《名前+「拝」》の表現は病院の紹介状でも見ることができるそうです。

病院の紹介状では、相手先の医師に対し「〇〇××先生 御机下(ごきか)」という表現を用い、差出人に「△△〇〇 拝」とテンプレート的に表現するのだとか。 

これもまた、きっと古くから続く業界の慣習なのでしょうね。

※本記事は2015年12月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。