「死去」「逝去」「死亡」「永眠」の意味と使い方の違い、漢字の覚え方を解説

「死去」「逝去」「死亡」「永眠」の意味と使い方の違い、漢字の覚え方を解説

死去(しぼう)、逝去(せいきょ)、死亡(しぼう)、永眠(えいみん)はどれも人の「死」を意味する言葉です。

これらの漢字の覚え方と、意味・ニュアンス・印象・使い方の違いを解説します。

「死去」と「逝去」の意味と使い方の違い

「死去」と「逝去」は漢字も似ているし、使い方も同じですか? と思うかもしれませんが、実は違います。

「死去」は、「死」を表す通常の言葉で、おもに身内の死に対して使われます。

例えば、「父が死去しました」とか「作家のxxさんが死去されました」というように使いますね。

「逝去」は、「死」を表す尊敬語で、身内以外の死に対して使います。

例えば、「先生が逝去されました」とか「町内の山田さんが逝去されました」というように使いますね。

「ご逝去」とするとさらに丁寧な印象になりますよ。

「死亡」と「永眠」の意味と使い方の違い

「死亡」と「永眠」もそれぞれ意味やニュアンスが異なります。

「死亡」は、身内や他人の死を感情込めず伝えたい時に使います。

事件・事故の報道や医学的な記述などで、事務的に「死」を伝えたい場合にも使われます。

例えば、「昨日の爆発事故で、3人が死亡しました」とか「先月は、交通事故による死亡者数が0人でした」というように使いますね。

「永眠」は、身内や他人の死を遠まわしで伝えたい時に使います。

ただし、亡くなった直後には使わず、死後数日から数年経っている場合に使いましょう。

例えば、「祖母は80歳で永眠しました」とか「ご生前のご厚情に深く感謝いたしますとともに、安らかなご永眠をお祈りいたします」というように使いますね。

「永眠」は書き言葉として、手紙などで使うことが多いですよ。

「死去」の覚え方

「死去」は、「死」と「去」の2つの漢字からなります。

「死」は、息が絶えることを意味する「止」と、口から出る息を表す「欠」から成り立っています。 つまり、「息が止まって口から出なくなること」が「死」の原義です。

「去」は、人や物が離れることを意味する「厶」と、足で歩くことを表す「土」から成り立っています。 つまり、「離れて歩いていくこと」が「去」の原義です。

このように、「死去」は、「息が止まって離れていくこと」という意味合いを持っています。

「死去」「逝去」「死亡」「永眠」という4語のうち、最も古くから使われており『史記』や『漢書』などの中国の歴史書にも登場します。日本では、『日本書紀』や『万葉集』などにも見られます。

例えば、『日本書紀』巻第十八には、「天皇崩御之時、皇后死去」という文があります。

「逝去」の覚え方

「逝去」は、「逝」と「去」の2つの漢字からなります。

「逝」は、水が流れることを意味する「水」と、水に沈むことを表す「夬」から成り立っています。 つまり、「水に沈んで流れていくこと」が「逝」の原義です。 「去」とは先ほど説明した通りです。

このように、「逝去」は、「水に沈んで離れていくこと」という意味合いを持っています。

この言葉は「死去」より新しい言葉で、中国では宋代以降に使われ始めたとされます。

日本では、『源氏物語』や『徒然草』などにも見られます。例えば、『源氏物語』若紫の巻には、「今朝逝去せらるると聞きて」という文があります。

「死去」の「息が止まって離れていく」という意味が非常に「直接的」な表現なのに対して、「逝去」の「水に沈んで離れていく」という表現は比較的「間接的」なので、「死去」という言葉を使うのを「ためらう」場面で使う言葉として定着しました。

そのため、「死去」は基本的には身内の死に対して使い、身内以外の死には「逝去」という言葉を使い、亡くなった方への尊敬の念を示します。

「死亡」の覚え方

「死亡」は、「死」と「亡」の2つの漢字からなります。

「亡」は、人や物が消えることを意味する「亠」と、人や物が消えた後に残る跡を表す「亡」から成り立っています。つまり、「消えて跡もなくなること」が「亡」の原義です。 「死」とは先ほど説明した通りです。

このように、「死亡」は、「息が止まって消えてしまうこと」という意味合いを持っています。

「死去」「逝去」「死亡」「永眠」という4語のうち、最も新しい言葉で、中国では明代以降に使われ始めたとされます。

日本では、明治時代以降に普及したとされます。例えば、『明治天皇実録』第二十一巻には、「大隈重信公死亡」という文があります。

死を示すこれまでの言葉(「死去」「逝去」「永眠」など)は、死者に対する「感情」とセットなのですが、西洋で科学が発達し死を「客観的に」表現する言葉が必要になりました。

そこで使われるようになったのが「死亡」という言葉です。

「永眠」の覚え方

「永眠」は、「永」と「眠」の2つの漢字からなります。

「永」は、川が流れる様子を表す「川」と、川が曲がる部分を表す「丶」から成り立っています。つまり、「川のようにずっと流れ続けること」が「永」の原義です。

「眠」は、目を閉じることを意味する「目」と、目を閉じた状態を表す「民」から成り立っています。 つまり、「目を閉じていること」が「眠」の原義です。

このように、「永眠」は、「目を閉じてずっと流れ続けること」という意味合いを持っています。

「永眠」はこのように「長い眠りにつく」という比喩を用いて、死を遠回しに表現する言葉です。

この言葉は「逝去」より少し早く、中国では唐代以降に使われ始めたとされます。

日本では、平安時代以降に見られます。例えば、『今昔物語集』第十六巻には、「永眠せらるるこそ悲しきかな」という文があります。

「死去」の「息が止まって離れていく」という意味が非常に「直接的」な表現なのに対して、「永眠」の「長い眠りにつく」という表現は比較的「間接的」なので、「死去」という言葉を使うのを「ためらう」場面で使う言葉として使われるようになりました。

関連記事

時候の挨拶(~の候)はビジネスメールに入れる? 各月の上旬・中旬・下旬の挨拶例

ビジネスメールに時候の挨拶を入れるべきかどうか、私は個人的に以下の条件で判断しています。宛先が企業や団体の場合:時候の挨拶は入れない。 宛先が個人で、通常の業務の範囲で依頼・御礼をする場合:時候の挨拶は入れない。 宛先が個人で、通常の業務の範囲を超える特別な依頼・御礼・謝罪をする場合:最初のメールのみ時候の挨拶を入れる

目次
メインメニュー