「持論」と「自論」の意味や使い方の違いとは…「自論」はダメ!?

「持論」はいいけど「自論」はダメ!?

「いじめ問題について”じろん”を述べる」「原発政策について”じろん”を展開する」……。

このような文で”じろん”を「持論」と表記しているケース、また、まれにですが「自論」と表記しているケース、二つのパターンがあります。

というわけで、「持論」と「自論」には、意味や使い方で何か違いがあるのか、ここでは考えてみたいと思います。


「持論」と「自論」の意味や使い方の違いとは…「自論」はダメ!?

「持論」?それとも「自論」?


”じろん”は「持論」が正しい表記

結論から先に言うと、”じろん”は「持論」が正しい表記です。

”人が日頃から【持】っている意見”のことなので、「【持】論」になるわけです。

「持論」(読み方:”じろん”)の意味
  • ”人が日頃から【持】っている意見”

国語辞典では、「自論」は掲載されておらず「持論」のみが掲載されています(例:『広辞苑(第五版)』、『明鏡国語辞典(初版)』など)。

ですから、本来、”じろん”と漢字で書く場合には「【持】論」を用いたいところなのです。

公式な文での「自論」の表記は避けたいところ

たまに”じろん”を「【自】論」と表記しているケースを目にします。

おそらく、”【自】分の意見”だから「【自】論」と表記しているのでしょう。また、パソコンの変換で出てくることも少なからず影響しているのかもしれません。

そのため、「自論」の表記は一概に誤用であるとは言えず、造語のひとつだと考えればよいかもしれません。

”じろん”はどちらが正しい?
  • 〇 持論
  • △ 自論

当然ながら、ビジネス文書など公式な文章においては「自論」の表記は避けたいところです。

「持説」と「自説」はどちらも正しい

と、ここで少しややこしい話をひとつ。

「持論」に似た言葉に「持説」と「自説」がありますが、これらはどちらも正しい表記です(『広辞苑(第五版)』、『明鏡国語辞典(初版)』による)。

つまり、「持説」と「自説」、「持論」の表記はOKだけれども、「自論」は(公式な文章では)ダメだということ。

わかりにくいので、整理します。

”じろん”と”じせつ”の漢字表記
  • 〇 持論(”人が日頃から【持】っている意見”)
  • △ 自論
  • 〇 持説(”人が日頃から【持】っている意見”)
  • 〇 自説(”【自】分が日頃から主張している学説や意見”)

「これなら『自論』もOKにしようよ!」という声が聞こえてきそうです。

いずれにせよ「面倒くさいなぁ」と思う人は、「【持】の漢字はどちらもOKだから『持論』と『持説』で覚えておく」のも手でしょう。

基本的な使い方

「持論」の話に戻り、基本的な使い方(基本パターン)を見てみましょう。

基本的には、以下のような表現で用いられます。

「持論」の基本パターン
  • 「持論を述べる(展開する)」
  • 「~という持論」

具体的な文例

具体的な文例も見てみましょう。

「持論」を用いた具体的な文例
  • 小学生の子供を持つコメンテーターが、番組内でいじめ問題について「持論」を述べ、大きな反響を引き起こした 。
  • 200勝投手であるA氏が、自身のブログ内で球界改革案について「持論」を展開した。
  • 久しぶりにテレビのインタビューに登場したB元首相は、原発政策について「持論」を展開した。
  • 首相のブレーンであるC氏は、以前より金融政策が雇用拡大につながるとの「持論」を展開している。
  • 「先ほど党首が述べた内容は、あくまで『持論』であり、党組織全体の意志ではない」

このように用いられます。

同義語・類義語

「持論」の同義語・類義語にはどのような言葉があるでしょうか?

似た言葉には「持説」と「自説」、それから「主張」、「意見」、「考え」などといった言葉があります。

「持論」の同義語・類義語
  • 「持説」
  • 「自説」
  • 「主張」
  • 「意見」
  • 「考え」

まとめ

ここまでの内容をまとめます。

まとめ
  • ”じろん”は「持論」が正しい表記
  • 「自論」は造語のひとつだと考えればよい
  • ビジネス文書など公式な文章では「持論」を使用する
  • 「持説」と「自説」はどちらも正しい

いずれにせよ、ビジネス文書など公式な文章においては、「自論」の表記は避け「持論」を用いるのだということを覚えておきましょう。

以上、「持論」と「自論」の意味の違いについての説明でした。みなさんの参考になれば幸いです。

※本記事は2017年10月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。