「大数の法則」の意味とは…データが多いことはよいことだ!

数学の確率論における有名な法則

数学の確率論における有名な法則に「大数の法則」(英: law of large numbers)というものがあります。

なんだか難しそうな名前の法則ですが、ビジネスパーソンにとって重要な示唆を与えてくれる法則です。

ここでは、そんな「大数の法則」について説明します。


「大数の法則」の意味とは…データが多いことはよいことだ!

データが少ないよ!


「大数の法則」の意味とは?

「大数の法則」を簡単に言えば、”試行回数を増やせば増やすほど、理論上の確率に近づく”というもの。

ちなみに試行回数とは、何かを試した回数のことです(余談ですが、まれに「試行」を「施行」と間違えてしまう人がいるので注意してください)。

「大数の法則」(読み方:”たいすう(の)ほうそく”)の意味
  • ”試行回数を増やせば増やすほど、理論上の確率に近づく”

例えばサイコロ、理論上は《6分の1》 ずつだけど……

例えばサイコロ。各々の目が出る確率は理論上《6分の1》 ずつですね。だから、仮に6回サイコロを振った場合、1から6までの目が均等に出現することが予想できます。

でも実際は、なかなかそうはいきません。みなさんも試してほしいのですが、6回だけサイコロを振ってみると、出る目が特定の数字に偏(かたよ)ったり、全くでない目もあります。

「大数の法則」によれば、これは「試行回数が少なかったから、偏りが出ることは仕方がないことなんだよ」となるのです。つまり「(何千回、何万回とサイコロを振って)試行回数を増やせば、いずれ各々の目が出る確率は理論上の《6分の1》に収束するよ」というわけです。

「大数の法則」が言わんとするところ、おわかりいただけたでしょうか。そう、”試行回数が少なければ少ないほど偏りが出るよ””試行回数が多ければ多いほど理論上の確率に近づくよ”ということなのです。

「大数の法則」のポイント
  • ”試行回数が少なければ少ないほど偏りが出る”
  • ”試行回数が多ければ多いほど理論上の確率に近づく”

「大数の法則」を活用すれば理論上の確率がわかる

この「大数の法則」を上手に活用することもできます。

すなわち、”数多くの試行を繰り返すことで、起きる確率がよくわからない事象の、理論上の確率を導き出すことが可能となる”のです。

実施される試行が、何千回、何万回、何十万回と多ければ多いほど、より正確な確率を導き出すことができるでしょう。

「大数の法則」の活用
  • ”数多くの試行を繰り返すことで、起きる確率がよくわからない事象の、理論上の確率を導き出すことが可能となる”

生命保険や自動車保険の保険料と「大数の法則」

例えば、生命保険や自動車保険の保険料。これら保険商品の保険料は適当に決めているわけではなく「大数の法則」を含む様々な確率から計算して決定されいます。

保険会社は「ある病気にかかっている人は〇年以内の死亡率が〇%」、「ある年代が交通事故を起こす確率は〇%」などといった理論上の確率を、膨大な過去の事例データ(=試行)から算出しているのです。

そのうえで生命保険や自動車保険を商品設計し、個人が支払う保険料を細かく決定しています。そのため、病気にかかったり死亡する、あるいは事故が発生する確率が高い年代は、毎月の保険料がグッと高くなるのです。

このように、病気にかかったり死亡する、あるいは事故が発生する理論上の確率を「大数の法則」を含む様々な確率から導き出すことができているからこそ、保険会社が想定外に保険金を支払い過ぎてしまい、倒産するようなこともないのです。

保険会社のケース
  • 「大数の法則」(=膨大な過去の事例データ)を活用して保険料を細かく決定する

コンビニエンスストアの販売予測と「大数の法則」

保険料の決定以外にも、例えばコンビニエンスストアの販売予測

コンビニエンスストアの商品発注が、天気や曜日など様々な要因を組み合わせた詳細な販売予測に基づいて行われていることは、皆さんもご存じでしょう。

このコンビニエンスストアの販売予測は、コンビニチェーンに加盟する数万店の、過去の膨大な売り上げデータを元に構築されたもの

膨大な売り上げデータから構築された販売予測により、商品の売れ残りや品切れといった機会損失を最小限に抑えた、効率的な商品発注が可能となるのです。

これもまた、”数多くの試行を繰り返すことで、起きる確率がよくわからない事象の、理論上の確率を導き出している”と言えるのではないでしょうか。

コンビニエンスストアのケース
  • 膨大な売り上げデータから構築された販売予測により、商品の売れ残りや品切れといった機会損失を最小限に抑えた、効率的な商品発注を可能にしている

試行回数は多ければ多いほどよい!データは多ければ多いほどよい!

このように「大数の法則」は、ビジネスパーソンに重要な示唆を与えてくれます。

すなわち、”試行回数は多ければ多いほどよい””データは多ければ多いほどよい”ということです。

「大数の法則」から得られる気づき
  • ”試行回数は多ければ多いほどよい”
  • ”データは多ければ多いほどよい”

試行回数が多ければ多いほど、データが多ければ多いほど、そこから何らかの事象が起きる確率の仮説を立てることができ、その仮説をビジネスに生かすことができるのです。

もし試行回数が少なければ、あるいはデータが少なければ、サイコロの出目のケースのように偏りが生じてしまい、誤った仮説を立てることにもなりかねません。

また余談ですが、最近「ビッグデータ」(big data)がもてはやされているのも、この「大数の法則」の延長線上にあると考えることができます。

いずれにせよ、「大数の法則」はビジネスパーソンが知っておいて損のない法則のひとつです。

以上、「大数の法則」の意味についての説明でした。ビジネスパーソンのみなさんの参考になれば幸いです。

※本記事は2017年11月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。