資本集約型産業、労働集約型産業、知識集約型産業、どの業種・職種が稼げる?

資本集約型産業、労働集約型産業、知識集約型産業、どの業種・職種が稼げる?

業種や職種の特徴をあらわす言葉として資本集約型産業、労働集約型産業、知識集約型産業という分類があります。

就職や転職で私達が進路を選ぶとき、最も「儲かる」のはどの産業なのでしょうか?

「会社が儲かる」のと「働く個人が稼げる」のは別の話という点は、これを考えるときに重要なポイントです。

「資本集約型産業」「労働集約型産業」「知識集約型産業」といった概念は、産業の特徴を表すために使われる言葉です。

事業活動には大きく分けて3つの要素があります。それは、労働力、資本、知識です。

労働力とは人間が働くことで生み出される価値です。資本とはお金や機械などの物的なもので、事業活動に投入することで価値を生み出すものです。知識とは技術や情報などの無形のもので、事業活動に応用することで価値を生み出すものです。

事業活動を行う上で必要な要素の中で、どれが主要な役割を果たしているかということで産業を分類したものが、「資本集約型産業」「労働集約型産業」「知識集約型産業」という分類です。

経済発展の過程での移行

一般的に言われることは、経済発展の過程では「労働集約型産業」から「資本集約型産業」へと移行し、さらに「知識集約型産業」へと移行するということです。

これはなぜかというと、経済発展に伴って人口や所得が増えると、労働力が不足したり賃金が上昇したりするため、労働集約型産業では競争力が低下するからです。 そのため、機械化や自動化などを導入して生産性を向上させる必要があります。

これが資本集約型産業への移行です。

さらに、コンピューターやインターネットの発達によって、情報や知識を生み出したり共有したりすることが容易になると知識集約型産業への移行が促されます。

労働集約型産業

これは、事業活動の主要な部分を「肉体労働の労働力」に頼っていて、売上高に対する人件費の比率が高い産業のことです。

わかりやすく言うと、「肉体労働者がたくさん働くことで」商品やサービスを作り出す産業です。

例えば、飲食店や介護施設、縫製工場などがこのタイプに当てはまります。

この言葉は、経済学者のハインリッヒ・フォン・シュトックホルムが1931年に発表した論文「資本集約型と労働集約型の生産構造」で初めて使われました。

英語では「labor-intensive industry」と言います。

労働集約型産業の特徴は、初期費用が小さいけれどもランニングコストが大きいことです。 つまり、人を雇うことで収益が増えますが、人件費を払い続けることで生産を続けることができます。

そのため、売上が増えると変動費も増えるというデメリットがあります。

資本集約型産業

これは、事業活動の中心が「生産設備」や「機械」などの資本であって、多くの労働力を必要としない産業のことです。

つまり、「お金をかけて設備を整えることで」商品やサービスを作り出す産業です。

例えば、自動車製造業や電力業、ガス業などがこのタイプに当てはまります。

この言葉もハインリッヒ・フォン・シュトックホルムが1931年に発表した論文「資本集約型と労働集約型の生産構造」で初めて使われました。

英語では「capital-intensive industry」と言います。

資本集約型産業の特徴は、初期投資が大きいけれどもランニングコストが小さいことです。 つまり、一度設備を整えてしまえば、あとは維持管理費をかければ生産を続けることができます。

そのため、売上が増えるほど利益が増えやすいというメリットがあります。

しかし、反面、設備投資が多額であるために回収するまでに時間がかかったり、市場の変化に対応しにくかったりするデメリットもあります。

知識集約型産業

これは、「知識労働」や「頭脳労働」が事業の中心となる産業のことです。

つまり、特殊な技術や知識を持つ人が価値を生み出す産業です。

例えば、医薬品製造業や情報サービス業、デザイン業などがこのタイプに当てはまります。

この言葉は、経済学者のフリッツ・マッハルプが1962年に発表した論文「知識生産の経済理論」で初めて使われました。

英語では「knowledge-intensive industry」と言います。

知識集約型産業の特徴は、一言で言うと「ハイリスク・ハイリターン」です。

知識集約型産業では、魅力的な商品をひとつ開発できれば、爆発的に利益があがります。 これは、そもそも「知識」とは、文字や図にして簡単に複製可能であり、かつ、インターネットの発達により知識を複製・流通させるコストが劇的に下がったためです。

一方で、ヒット商品を生み出せない場合は、とたんに経営が成り立たなくなるリスクがあります。

会社がいちばん儲かるのはどの産業なのか?

一概には言えませんが、以下のような傾向があります。

労働集約型産業は、売上を増やすためには人を増やさなければならないため、利益率は低くなりやすいです。 また、機械化やAI化によって代替される可能性も高いです。

資本集約型産業は、設備投資をすることで生産性を高めることができるため、利益率は高くなりやすいです。 しかし、設備投資には多額の資金が必要であり、市場の変化に対応するのも難しいです。

知識集約型産業は、研究開発をすることで差別化や革新を図ることができるため、利益率は非常に高くなりやすいです。 しかし、研究開発には時間とリスクがかかりますし、知的財産権の保護も重要です。

どれが儲かるかは、市場の需要や競争状況、技術の進歩などによって変わってきますが、一般的に言えば、知識集約型産業は最も儲かりやすいと言えるでしょう。

働く人がいちばん儲かるのはどの産業なのか?

一般的に言えば、労働集約型産業では給与水準は中程度で、資本集約型産業では給与水準は低めで、知識集約型産業では給与水準は高めです。

これは、以下の理由によると考えられます。

労働集約型産業では、労働者が主役であり、そのスキルによって価値を生み出します。

そのため、労働者のスキルや能力による差異は大きく、高いスキルをもった労働者には相応の給与が支払われます。

しかし、会社全体でみると、人件費が高く利益率が低く知識集約型産業ほどには給与水準を上げられません。

資本集約型産業では、生産設備が主役であり、労働者はその補助的な役割を果たすだけです。

そのため、労働者のスキルや能力による差異は小さく、高いスキルをもった労働者も給与は低く抑えられます。

知識集約型産業では、労働者が主役であり、その知識や技術によって価値を生み出します。

そのため、労働集約型産業と同様に、高いスキルをもった労働者には相応の給与が支払われます。

さらに、会社全体でみたときにも利益率が高く、給与水準を高く維持できます。

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