事実上の退職勧告となるケースも…懲戒処分のひとつ「停職」の意味とは?

できれば受けたくない懲戒処分。その中のひとつに「停職」というものがあります。この「停職」とは、いったいどのようなもので、どういったことをすると受ける処分なのでしょうか?


事実上の退職勧告となるケースも...懲戒処分のひとつ「停職」の意味とは?

やっぱり自主退職しなきゃダメなのかな……


「停職」の意味とは?

まずは「停職」という言葉の確認から。

「停職」の読み方は”ていしょく”。公務員の懲戒処分のひとつで、一定期間(国家公務員の場合は1日以上1年以下)において職務に従事させないという処分です。

原則的に「停職」期間中の賃金は支払われません。したがって、「減給」よりも上位の処分、事実上の解雇に相当する「免職(退職金は支給されない)」に次ぐ重い懲戒処分であるとされます。

公務員以外にも日本放送協会(NHK)のような特殊法人や一部の大企業でも、懲戒処分のひとつとして「停職」は取り入れられています。

また「停職」は懲戒処分のひとつであるため、転職活動を行う際には履歴書の賞罰欄に記入する必要があります。

警察職員は「停職」=「依願退職」

公務員の中でも特に警察職員の場合、「停職」は事実上の退職勧告を意味するとされています。

新聞報道を見てもわかりますが、警察職員が期間の長短を問わず「停職」を受けた場合、ほとんどのケースにおいて「停職」を受けた者は、辞職届を提出し受理され「依願退職(退職金は支給される)」となっています。

警察職員以外にも、慣例として「停職」=「依願退職」となる職種や組織は少なくないようです。

民間企業の「停職」はレアケース?

民間企業の場合、一部の大企業などでは「停職」を導入しているようですが、レアケースだとされます。

大部分の企業においては、社員に不祥事が起きた際には基本的に「免職」の処分が下されるでしょう。

また、「免職」まで至らないと判断される場合には、「降格」など左遷人事で対応するケースがほとんどです。

短期間においては「出勤停止」という処分もありますが、「出勤停止」は懲戒処分というよりも、処分が決定するまでの暫定措置の意味合いが大きいのかもしれません。

「停職」(読み方:ていしょく)の意味
  • 主に公務員に対して下される、一定期間職務に従事させない処分
  • 原則的に「停職」期間中の賃金は支払われない
  • 事実上の退職勧告となるケースもある
  • 民間企業の場合、基本的に「免職」「降格」の処分となる
  • 履歴書の賞罰欄に記入する必要がある

「停職」期間中の活動は制限されるの?

市役所職員など地方公務員の場合、「停職」となった職員は「停職」後に職場復帰するケースがほとんどです。

その際には、(組織によって認識は異なるでしょうが)生活自体やプライベートな活動に特段の制限が加わることはありません。

しかし「停職」は懲戒処分のひとつであり、所属する組織にとっては「不祥事」に相当するため、ある程度の自粛が求められることは確かなようです。

特に周囲から顰蹙を買うような行為は慎みたいところです。

「停職」期間中に Facebook に投稿し懲戒免職!?

ちなみに2016年には次のような報道がありました。

中部地方のとある町に勤務する職員が、勤務時間外に接客の仕事に従事し約300万円の副収入を得たとして、停職6カ月の懲戒処分を受けました。

停職期間中に、職員は自身の Facebook に旅行先で食べたカニの写真やコメントを投稿。住民から町に「停職中なのに不謹慎」との批判が寄せられ、上司が注意を行ったそうです。

ところが、その後も主事は旅行先で食事した様子を Facebook に投稿。ついに町は地方公務員法第三十三条(信用失墜行為の禁止)違反に当たるとして懲戒免職にしたのだとか。

町の総務部長はコメントで「反省すべき停職期間中に町の信頼を損なう行為をした責任を重くとらえた。反省の様子もみられず妥当な処分」と話したとのこと。相当お怒りだったようですね……。

報道された公務員の「停職」事例

以下に実際に報道された公務員の「停職」の事例をいくつか紹介します。「停職」の目安として参考にしてください。

【停職2日】

・陸曹が就寝中の後輩隊員のいびきを止めるため、壁にサンダルを投げて物音を立てようとした際、サンダルが後輩隊員の左目に当たり、視力を一時的に低下させる(陸上自衛隊木更津駐屯地)

【停職5日】

・職員が手書きの勤務表を改竄(かいざん)し、時間外手当など計約28万円を不正受給(兵庫県姫路市)

【停職15日】

・陸曹が飲酒運転の取り締まりで酒気帯び運転の疑いで検挙(陸上自衛隊北熊本駐屯地)

【停職25日】

・航空教育隊教官が酒気帯び運転でガードレールに衝突する事故、警察が酒気帯び運転の疑いで検挙(航空自衛隊防府南基地)

【停職1ヵ月】

・書記官が民事訴訟で本人尋問の録音に失敗。裁判官に報告せず、原告、被告側双方に勝手に事務連絡をし謝罪(東京地裁)

・職員が14回にわたり虚偽の出勤・退勤時間を申請。実際は働いていない計約37時間を勤務時間に(奈良県生駒市)

・職員が、リサイクルする ために市民から無償提供されたベビー服を無断で持ち帰って親族に渡す(大阪市)

・消防士長が緊急連絡先として携帯電話番号を聞いた搬送者の娘に、私用携帯を使い計6回LINEなどで「お母さん大丈夫ですか」「消防士と合コンしますか」などと送る(兵庫県西宮市消防局)

【停職2ヵ月】

・教育委員会職員が飲酒運転し追突事故。車の修理代を渡し、警察と職場には報告せず(富山県南砺市)

・職員が勤務中に部下に長いときには2時間以上に渡って強い口調で指導を繰り返すパワーハラスメント。ほかの3人の部下にも(岐阜市)

・保健所主査が「出生動向基本調査」の調査票37枚を偽造して提出(奈良県)

【停職3ヵ月】

・職員が、内規で喫煙を禁じられている勤務時間中に職場の敷地内で喫煙(大阪市)

・教授が「大学紀要」に掲載された論文5本に外国文献の和訳や、かつて指導した学生の卒業論文などを無断で引用(福岡教育大)

【停職5ヵ月】

・大学院入試で、筆記試験の出題を担当した教授が入試問題の情報を受験生へ事前に漏らす(京都府立大)

【停職6ヵ月】

・職員が親族が亡くなったなどとうそをつき、有給の忌引や法事の休暇計17回を不正に取得(香川県丸亀市)

・小学校教諭が酒に酔った状態で他人の軽トラックを無断で運転(長崎県教育委員会)

・特別支援学校の教諭が11年以上にわたり無免許運転を続け、道交法違反容疑で検挙(長野県教育委員会)

・高校教諭がショッピングセンターでパン3個を万引きし示談。過去にも同様の万引きをしていたことが発覚(神奈川県教育委員会)

-以上、2016年に報道された公務員の懲戒処分より抜粋

いずれにせよ、社会人として「停職」を受けるような行為はしないようにしたいですね。

「停職」の意味と事例についての説明でした。皆さんの参考になれば幸いです。

「停職」について深く知る参考リンク

※本記事は2016年5月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。