ビジネス文章で用いる「当該」と「該当」の意味の違いとは?

似ているけれど微妙に違う「当該」と「該当」

ビジネス文章で用いる「当該」と「該当」の言葉。

「まぁ使っている漢字も同じだし、フィーリングで好きな方を使えばいいや…..」と考えるビジネスパーソンもいるかもしれませんが、実は注意が必要な言葉です。

ビジネス文章で用いる「当該」と「該当」の意味の違いとは?

「当該」の意味と使い方は?

まずは「当該」の読み方と意味の確認から。

「当該」の読み方は”とうがい”。『大辞林』によると“それにあたる”“そのことに関係のあること”といった意味があるそうですが、簡単に言えば“その”になります。

「当該」(読み方:とうがい)の意味
  • “それにあたる”、”そのことに関係のあること”(引用:『大辞林』)
  • “その”

基本的に名詞の前につく「当該」

「当該」は基本的に名詞の前につきます(ちなみに『広辞苑』第五版でも、”名詞に冠して用いる”と注釈がついています)。

架空のニュース記事を例に確認してみましょう。

7日午後9時30分頃、○○県××市の○○線××駅付近の線路内で、「東京発○○行きの特急列車」が故障のため緊急停止した。

乗客約100人が乗った「当該列車」は現場に停車し、△△-××駅間では上下線とも運転を見合わせている。

記事中では先に「東京発○○行きの特急」列車の説明があって、再度、その列車について言及する際に「当該列車」という表記をし、代名詞のように使われています。「当該」を“その”に言い換えてみてください、意味が通じますね。

  • 当該列車
  •  ↓

  • “その”列車(「東京発○○行きの特急列車」のこと)

他にも、事件や事故の報告書などで「当該官庁」と表記すれば、“その”事件や事故に関わる(担当する、あるいは監督する)官庁を指し示すことになります。

かしこまった文章で好まれる「当該」

「当該」は、主にかしこまった文章で多く用いられます。官公庁が発表する文章やビジネス文章で多く見ることができる言葉です。

「当該」を用いた言葉の例には次のようなものがあります。

「当該」を用いた言葉の例
  • 事件や事故の報告書など
    当該事件・当該事故・当該案件・当該製品・当該商品・当該品・当該装置・当該官庁・当該職員
  • ビジネスでの報告書など
    当該項目・当該事業・当該企業・当該地域・当該国・当該期間・当該年度・当該月・当該金額・当該取引
  • スポーツのルールブックなど
    当該試合・当該選手

というわけで「当該」のポイントとしては、意味では代名詞のような働きをする点(=”その”)、用法では名詞の前につく点を挙げることができます。

「当該」のポイント
  • 意味-代名詞のような働きをする(=”その”)
  • 用法-基本的に名詞の前につく

「該当」の意味と使い方は?

そして、もう一方の「該当」の意味と使い方。

「該当」の読み方は”がいとう”。意味は『広辞苑』によると“その条件・事例・資格などに当てはまること”

簡単に考えれば、“(何らかの条件に)当てはまること”になります。

「該当」(読み方:がいとう)の意味
  • “その条件・事例・資格などに当てはまること”(引用:『広辞苑』第五版)
  • “(何らかの条件に)当てはまること”

実際の文例で確認しましょう。

例えば次のような文章で「該当」が使われます。『顧客情報の流出に関するお詫び文章』からの抜粋です。

(流出した可能性のある顧客情報が示され)
本件に「該当する」お客様にはお詫びとご報告、事情説明の実施に努めております。

再確認しますが「該当」の意味は”(何らかの条件に)当てはまること”。

もし文中に「該当する」と出てきた際には、ほとんどのケースで”当てはまる”に言い換えることができます。

上記の例では……。

  • 本件に該当するお客様
  •  ↓

  • 本件に”当てはまる”お客様

「該当」が“その条件・事例・資格などに当てはまること”を意味するとは、こういうことなのです。

「該当する」で覚えたい「該当」

「該当」は「当該」と同様に使い方にも特徴があります。

「当該」が名詞に冠して用いられるのに対し、「該当」は「該当する」と表記するケースがほとんどです。

具体的な例を挙げましょう。

  • 上記資格に「該当する」
  • リコールに「該当する」車種
  • 約70%が「該当した」
  • 菅官房長官「熊本地震は大震災級に『該当しない』

いずれも”当てはまる”(”当てはまった”、”当てはまらない”)で言い換えることができますね。

もちろん「該当」には「該当者」のように名詞の前につく用法もあります。しかし「該当者」以外に名詞の前に「該当」がつく表現はレアケースでしょう。

ちなみに官公庁の文章で「該当期間」、新聞記事で「該当各社」といった使い方をしているケースも確認できましたが、あまり一般的な表現ではないようです。

「該当」のポイント
  • 意味-”(何らかの条件に)当てはまること”
  • 用法-「該当する」の表現が一般的
    (※ただし「該当者」「該当期間」「該当各社」など名詞の前につく用法もある)

このようなケースではどうすればいい?

と、ここまでを踏まえたうえで次の文章を見てください。ある企業の商品に異物混入があったことを報じる架空のニュース記事です。

△△食品は、同社が販売する即席麺に異物が混入していたと発表した。

(中略・即席麺の製品名などが記述)

△△食品は「該当商品」の所有者に対し、指定の送付先まで着払いで送るよう呼び掛けている。

そう、「該当商品」の部分ですね。

もちろん「該当商品」の表記は(名詞の前に「該当」がつく用法もあるので)間違いではありません。しかし、この表現に違和感を抱くビジネスパーソンも少なくないでしょう。

もし何らかの事情で上記のような文を書かなければならない場合、「該当商品」と書くべきか、あるいは他の言葉で言い換えるか悩みどころです。

このようなケースにおいては、「該当商品」と表記するよりも言葉を補って「該当する商品」としたり、もしくは「回収(の)対象となる商品」としたほうがベターなのかもしれません。

△ 「該当商品」
◎ 「該当する商品」
◎ 「回収(の)対象となる商品」

いずれにせよ、ビジネスシーンで意外と面倒なのが「当該」と「該当」の使い分けなのです。

以上、「当該」と「該当」の意味と使い方についての説明でした。ビジネスパーソンの皆さんの参考になれば幸いです。

「当該」と「該当」について深く知る参考リンク

※本記事は2016年5月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。