ソフトバンク創業者・孫正義氏が唱えた「タイムマシン経営」の意味とは?

アメリカと日本のタイムラグを利用する経営手法

企業家として数多くの成功を収めてきたソフトバンク創業者・孫正義氏。

その孫正義氏が、1990年代末期から2000年代初頭(インターネットバブルと前後する頃)にかけて、さかんに唱えていたのが「タイムマシン経営」という言葉。

なんだかカッコいい響きを持つ言葉ですが、この「タイムマシン経営」とは、いったいどのような意味があるのでしょうか?


ソフトバンク創業者・孫正義氏が唱えた「タイムマシン経営」の意味とは?

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「タイムマシン経営」の意味とは?

「タイムマシン経営」とは、”アメリカで成功した Web サービスやビジネスモデルを即座に日本国内で展開し、大きな利益を得る経営手法”を意味します。

「タイムマシン経営」の意味
  • “アメリカで成功した Web サービスやビジネスモデルを即座に日本国内で展開し、大きな利益を得る経営手法”

今でこそ、アメリカで何らかの Web サービスが普及すれば、リアルタイムで日本においても類似の Web サービスが開発され展開されることでしょう。

しかし、1990年代末期から2000年代初頭にかけては、アメリカと日本の間には数年のタイムラグ、すなわち時差が存在したと言われています。

「タイムマシン経営」とは、この時差を利用した経営手法なのです。

「アメリカで起きたことは日本でも起きる」という法則

「アメリカで起きたり流行したことは、日本でも起きたり流行する」という、一種法則的なものは昔から言われてきたことです。

身近な例だと、アメリカで流行した洋楽と似たような曲調の歌謡曲が日本でもヒット曲となったり、アメリカで人気となった外食チェーンが日本で人気を得ることが挙げられるでしょう。

流行だけではありません。格差社会の進行やカード社会の到来、それらにともなう個人の自己破産の増加、さらには大型ショッピングセンターの進出による地域小売業の壊滅といった社会的な現象まで、時差の大小はあるものの、「アメリカで起きたことは日本でも起きて」きました。

孫正義氏が唱えた「タイムマシン経営」とは、このようなアメリカと日本の関係に注目し、特に IT の Web サービス領域において、いち早く新しいサービスを立ち上げていく(そして先行者利益を得ていく)スピード感を持った経営手法だったのです。

検索サイトでありメディアでもある「ヤフージャパン」の成功、ソフトバンクが日本国内で独占的に販売を開始した米アップル社のスマートフォン「iPhone」の成功などが、「タイムマシン経営」の一例となるでしょう。

「タイムマシン経営」の現状

このように”アメリカで成功した Web サービスやビジネスモデルを即座に日本国内で展開する”「タイムマシン経営」。現在では、あまり有効な手段ではないとされています。

その理由には、インターネット環境やSNSの普及により情報がリアルタイムに伝わってくるため、アメリカで流行した Web サービスと類似のサービスが日本国内で次々と立ち上がり競争が激しくなっている点や、日本でのスマートフォンの普及率がアメリカを上回っていることもあり、日本発の Web サービスのほうが先進的であるケースも存在する点などが挙げられるでしょう。

そのため、日本国内でヒットした Web サービスを今度は巨大市場である中国、インド、そして東南アジアで展開していくという新たな「タイムマシン経営」が注目されています。

現在、日本国内の多くの IT 企業が市場としてアジア各国に対し魅力を感じ進出をしていく背景には、このような事情があるのです。

いずれにせよ、一代でソフトバンクを大企業に育て上げた孫正義氏。その発想力は、私たちの常識をはるかに超えたところにあったわけです。

以上、「タイムマシン経営」の意味についての説明でした。参考になれば幸いです。

※本記事は2016年7月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。