スタートアップ企業が使う「ピボット」の意味を解説

スタートアップ企業が使う「ピボット」の意味を解説

スタートアップなどのベンチャーな企業や、企業内の新規事業では、事業の方向性や戦略を変更することを「ピボット」と呼ぶことがあります。

もともとバスケットボールで、片足を軸足として動かさず、もう一方の足を動かして自由に動きまわる動作のことです。

ビジネス用語での「ピボット」は、製品やビジネスモデル、成長のエンジンなどについて根本的な仮説を新たに設定し、検証するために新しいプロジェクトを始めることです。

つまり、事業の方向性や戦略を「変更」してみることで、市場や顧客のニーズに応えたり、競争力を高めたりできないかを検証することです。

スタートアップなど小規模な企業や、大企業内の新規事業など、まだ成長途上の小さな事業に関して主に使われます。

ピボットの語源はバスケットボール

ピボットという言葉は、もともとバスケットボールで使われる用語です。

バスケットボールでは、ボールを持ったまま(ドリブルをつかずに)3歩以上歩くとトラベリングというルール違反になります。

そこで片足を軸足として動かさず、もう一方の足を動かすことで自由に動きまわり、相手のディフェンスをかわしたり、パスやシュートの角度を変えたりする動作が編み出されました。

バスケットボールでよく行われるこの動作を「ピボット」と呼び、これが「ピボット」という言葉の本来の意味です。

ビジネスにおけるピボットは、このバスケットボールのピボットになぞらえて、事業の方向性や戦略を変更することです。

ビジネス用語「ピボット」の起源

ビジネスにおけるピボットの概念は、エリック・リースという起業家が著書「リーン・スタートアップ」で紹介したことで広く知られるようになりました。

リースは、スタートアップ企業が成功するためには、「仮説 → 検証 → 学習 → 改善」というサイクルを素早く回すことが必要だと主張しました。

このサイクルを「ビルド・メジャー・ラーン」と呼びます。 そして、このサイクルの中で仮説を変更することが「ピボット」だと説明しました。

ピボットの種類

ピボットには、さまざまな種類があります。エリック・リース氏は、10個の型を挙げています。

ここでは、その中から代表的なものを紹介します。

要件定義がコロコロ変わる開発は「ピボット」と職務経歴書に書こう

さて前置きが長くなりましたが、この「ピボット」という言葉は、実は、職務経歴書にうまく使える言葉なのです。

あなたは、過去に「要検定義がころころ変わって形にならなかった」そんな開発プロジェクトに関わったことはありませんか?

もしかしたら、そのプロジェクトを職務経歴書に書くのをためらっているかもしれません。 なぜなら、失敗したプロジェクトだと思われてしまうかもしれないからです。

実際、職務経歴書に「要件定義がころころ変わり形にならなかった」と書いても採用担当者から高い評価は望めません。

「ピボット」という言葉の解説で見てきたように、経営学の分野では、要件定義が変わること自体は悪いことでなく、むしろ市場や顧客のニーズに応えるため必要なことと考えられています。

むしろ、コロコロ変わる要件定義に開発チームは「柔軟に対応」し、状況に応じた「最適なソリューション」を提供する能力をもつべきというのがいまの考え方です。

しかし、「要件定義がころころ変わって形にならなかった」と書くと、開発チームがその能力を欠いていたように見えます。 採用担当者は、そういう開発チームに参加したあなたの能力や貢献度を疑ってしまうかもしれません。

職務経歴書の書き方を変えましょう。

「要件定義がコロコロ変わり形にならなかった」プロジェクトを職務経歴書に書くことは、「ピボットを繰り返した」という表現を使うことです。

そのポイントは以下の3つです。

  1. ピボットの理由を明確にする。例えば、「市場調査で競合製品の存在を発見したため」「顧客からのフィードバックで新たなニーズを把握したため」「技術的な問題で実現が困難だったため」などです。
  2. ピボットの内容を具体的にする。例えば、「機能や仕様を変更した」「ターゲットや価格を変更した」「開発言語やフレームワークを変更した」などです。
  3. ピボットの結果を評価する。例えば、「開発期間やコストを削減した」「品質やパフォーマンスを向上させた」「市場シェアや売上を拡大させた」などです。

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