「A社の個人情報流出を『他山の石』とする」「海外で起きた事件を『他山の石』として対策を講じる」……。
ニュース記事でも見る機会が多い「他山の石」という故事成語。
この「他山の石」という故事成語には、いったいどのような意味があるのでしょうか?

「他山の石」は”他の山にある(質の悪い)石”のこと!
「他山の石」の読み方と語源、意味とは?
まずは「他山の石」の読み方と語源、意味の確認から。
「他山の石」の読み方は、”たざんのいし”。
「他山の石」の元となる言葉は、孔子が編集したとされる中国最古の詩篇『詩経』に登場する「他山の石以て玉を攻むべし(読み方:たざんのいしをもってたまをおさむべし)」。
この言葉は、”他の山にある(質の悪い)石でも、自分の玉(=宝石)を磨く砥石にすることができる”ことを意味し、”他人のよくない言行(や失敗)も自分を向上させるのに役に立つ”という教訓を含みます。
- “他の山にある(質の悪い)石でも、自分の玉(=宝石)を磨く砥石にすることができる”
- “他人のよくない言行(や失敗)も自分を向上させるのに役に立つ”
「他山の石」の例
例えば職場で他人の悪口を話したり、新入社員に意地悪をするお局様。「嫌だなぁ」と感じる人も多いものですね。
そんなお局様の言動を見て自分自身の言動を見直し、職場で他人の悪口を言わないようにしたり新入社員に意地悪をしないようにしたのであれば、あなたはお局様を「他山の石」にしたことになります。
「他山の石」は、「人の振り見て我が振り直せ」や「反面教師」の意味と似ています。
「他山の石」は”他の山にある(質の悪い)石”である点に注意!
「他山の石」は”他の山にある(質の悪い)石”である点に注意しましょう。
模範となるべき言動や尊敬する人物を指して「他山の石」を使うことはありません。
例えば、尊敬する先輩に対して「先輩の仕事ぶりを『他山の石』にして頑張ります!」と言うのは明らかな誤用であり、先輩をムッとさせてしまう可能性が高いので注意しましょう。
「他山の石」の使い方(文例)
「他山の石」を用いた具体的な文例も見てみましょう。
基本的には「他山の石とする」という表現が好んで用いられます。
また、ニュース記事などでは”他人事ではない”といった意味を伴って「他山の石」が使われているケースも少なくありません。
- A社の個人情報流出を「他山の石」とする。
- 海外で起きた事件を「他山の石」として対策を講じる。
- 先人たちの失敗を「他山の石」とする。
このように用いられます。
「他山の石」の同義語・類義語
「他山の石」の同義語・類義語にはどのような言葉があるでしょうか?
「他山の石」に似た言葉には「人の振り見て我が振り直せ」「反面教師」「人を以て鑑と為す」などといった言葉があります。
- 人の振り見て我が振り直せ
- 反面教師
- 人を以て鑑と為す
いずれにせよ、社会人としては「あいつを『他山の石』にしろ」と言われないよう、日頃の言動などには注意したいところです。
以上、「他山の石」の意味と使い方についての説明でした。参考になれば幸いです。
- 詩経
(Wikipedia)
※本記事は2016年7月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。