職務経歴書で「ワンストップ化した」と書いて「まとめて価値が出た」仕事をアピール
ワンストップは、1ヵ所で用が足りるという意味です。例えば、役所では、引越しや結婚などの手続きを1ヵ所の窓口で済ませられるように変える「ワンストップサービス化」を掲げる政策も多くとられます。
スクラッチ開発の職歴は、転職のときに「小規模の素人っぽい開発」とマイナス評価されるという話があります。
逆に「ゼロから取り組んだ独自性のある開発」とプライ評価されるという情報もあります。
どちらなのか? 自分の経験から解説します。
英語の「scratch」という単語には、いくつかの意味があります。 一番基本的な意味は、「ひっかく」や「ひっかき傷」です。
例えば、猫に手をひっかかれたら “I got scratched by a cat.” と言いますし、手にひっかき傷ができたら “I have a scratch on my hand.” と言います。
しかし「scratch」には他にも意味があります。
日本語でも英語でも、ビジネスシーンで「スクラッチ」というと、「ゼロから」の意味です。
例えば、新しいプロジェクトをゼロから始めるときに “start from scratch” と言います。 この表現は、地面にスタートラインを引くようなイメージから来ているそうです。
さて、ITエンジニアの職務経歴書で「ゼロから」開発したことをアピールため「スクラッチ開発」と書いていいのでしょうか?
そもそも「スクラッチ開発」は採用担当者にとって、良い印象をもつ職務経歴なのでしょうか?
もちろん一言でいってしまえば「募集職種やポジションによりそれぞれ」なのですが、もう少し細かく分析したいと思います。
私の実体験として、転職の面接で「スクラッチ開発」という記載を悪く捉えられた経験があります。
具体的な内容は省略しますが、大前提として、採用担当者によっては「スクラッチ開発」を「素人っぽい開発」とイメージしている場合があるようです。
というのも、現代の企業のシステムは非常に「巨大」かつ「複雑」なものになっていて、本当の意味で「ゼロから」開発するのは無理なのです。
そのため、一般的には、既に出来上がっている「部品」を組み合わせてつくります。
この「部品」はシステムによって異なりますが、オープンソースのライブラリの場合もありますし、AWS(Amazon Web Service)などのクラウドの機能を部品として使うこともありますし、ハードウェアの開発で「Raspberry Pi」を基盤に使う場合はそれが「部品」です。
こうした「部品」を使わず「ゼロから開発しました」というのは「まともな開発じゃないよね」というイメージを持っている採用担当者が一定数います。
例えば、プロトタイプ(試作品)のような「とりあえず動いてる感が出ればOK」の開発の話を、「スクラッチ開発」と言って盛って話しているのではないか?…うがった見方をされているわけです。
一方で「スクラッチ開発」をきちんと評価する採用担当者にも出会ったことがあります。
さきほども書いたように、現代のシステム開発は、一般的には、既に出来上がっている「部品」を組み合わせてつくります。
この「部品」はシステムによって異なりますが、オープンソースのライブラリの場合もありますし、AWS(Amazon Web Service)などのクラウドの機能を部品として使うこともありますし、ハードウェアの開発で「Raspberry Pi」を基盤に使う場合はそれが「部品」です。
しかし、システムが「部品の組み合わせ」だけで完成してしまうなら、ライバル企業も、すぐに同じシステムを開発できてしまいます。
要するに、「ゼロから開発」しない会社は、技術面での競争力が「ゼロ」になってしまうのです。
そのため、企業が予算を投じてシステムを開発する場合、「スクラッチ開発」的な要素が必ずどこかにあります。
自分がアピールする「スクラッチ開発」が、前職の企業での「競争力」の源泉になっている場合、それは大いに評価される内容です。
ここまで見てきたように、職務経歴書に「スクラッチ開発」と書いただけでは、採用担当者によって高評価も低評価もどちらもありえます。
「スクラッチ開発」を高評価につなげるには、あなたがゼロから開発した機能の「独自性」もきちんと記載するのがポイントです。
「独自性」とは、あなたがゼロから開発した機能に関して「世の中で一般的な構築(実装)方法と比較して何が特徴的なのか」のことです。
そのために、職務経歴書を書く前に、自分の開発した機能に関して、以下2点、調査をしてみましょう。
この事前調査を踏まえて職務経歴を書くと、あなたの「強み」を明確にアピールする職務経歴書ができあがります。
さきほども書いたように、現代のまともな(企業が予算を投下する)開発では、完全にゼロから開発する「全部をスクラッチ開発」はありえませんが、一方で「スクラッチ開発を全くしない」開発もありえません。
どんなプロジェクトでも、「スクラッチ開発をする部分」と「スクラッチ開発しない(部品を流用する)部分」と両方あります。
例えば、今や製品開発で「OSから開発する」ことは一般的にはありません。 スマホであれば「Android OS」と「iOS」、サーバであれば「Linux OS」を使うか、そもそも「OS」を気にせずクラウドの「オーケストレーション」サービスを使います。
となると、ひとつ疑問が出てきます。
どの程度のレベルで「ゼロから」開発したら「スクラッチ開発」と職務経歴書に書いてよいのでしょうか?
結論から言うと、これは「程度」ではなく「範囲」で考えるとよいと思います。
さきほども書いたように、どんなプロジェクトでも、「スクラッチ開発をする部分」と「スクラッチ開発しない(部品を流用する)部分」と両方あります。
つまり、職務経歴書に列挙するプロジェクトごと「スクラッチ開発をする部分」と「スクラッチ開発しない部分」と両方あるわけです。
そして「スクラッチ開発」をアピールしたいプロジェクトに関しては、「なになにの範囲をスクラッチ開発」と、「範囲を明示」してスクラッチ開発の実績を一文記載することをおすすめします。
「範囲」の部分は技術者にしか分からない用語でも構いません。 技術者以外にも分かるよう書ければ理想ですが、スクラッチ開発の範囲は抽象的な機能で、技術者以外に分かるように書くことは不可能な場合が多いと思います。
例えば「Ruby on Railsより上のレイヤーをスクラッチ開発」や「OpenAIとauth0のAPIをつなぐ機能をスクラッチ開発」といった書き方です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで見てきたように、現代のまともな(企業が予算を投下する)開発では、完全にゼロから開発する「全部をスクラッチ開発」はありえませんが、一方で「スクラッチ開発を全くしない」開発もありえません。
「スクラッチ開発」は企業の競争力の源泉になりうるので、職務経歴書にきちんと盛り込めば、その技術の知識のある採用担当者ならきちんと評価してくれるはずです。
職務経歴書に「スクラッチ開発」を盛り込むときは、単に「スクラッチ開発」と書くだけは避けましょう。
「なになにの範囲をスクラッチ開発」と、「範囲を明示」してスクラッチ開発の実績を一文記載することをおすすめします。
ワンストップは、1ヵ所で用が足りるという意味です。例えば、役所では、引越しや結婚などの手続きを1ヵ所の窓口で済ませられるように変える「ワンストップサービス化」を掲げる政策も多くとられます。
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