「『ナレッジ』の蓄積」「『ナレッジ』の共有」「『ナレッジ』の管理」……。
このようにビジネス系の記事やビジネスシーンで見聞きする機会が多い「ナレッジ」という言葉。
いったいどのような意味があるのかを、ここでは考えてみたいと思います

うん、じゃぁチームのメンバーでナレッジを共有していこう
目次
英単語 know の名詞形が knowledge (「ナレッジ」)
まずは「ナレッジ」の元となる英単語 knowledge について。
みなさんは、中学生時代に次のような英文を習った記憶があるはずです。
- I know him.(訳:私は彼を知っている)
この英文で注目してほしいのが英単語 know 。”~を知っている”という意味を持つ動詞ですね。
この英単語 know の名詞形が knowledge です。
knowledge は”ナレッジ”と読み、”(経験・体験を通じて得た)知識”という意味があります。
- ”(経験・体験を通じて得た)知識”
ちなみに、この knowledge は高校1年生が習得するレベルの英単語です。ですから社会人としては、一般的な教養として知っておきたい英単語の一つでもあります。
また、くれぐれも「【ノウ】レッジ」とは読まないでください。knowledge は「【ナ】レッジ」と読みましょう。
ビジネスシーンで用いられる「ナレッジ」の意味とは?
そして本題となるビジネスシーンで用いられる「ナレッジ」の意味。
ビジネスシーンで用いられる「ナレッジ」は、基本的に knowledge の意味そのままに”(経験・体験を通じて得た)知識”という意味で用いられます。
また、日本語の”情報”に相当する意味で用いられているケースもありますが、これは”(経験・体験を通じて得た)情報”と考えるとよいでしょう。
- ”(経験・体験を通じて得た)知識”
- ”(経験・体験を通じて得た)情報”
いずれにせよ”知識”と覚えておけば、まず間違いありません。
ビジネスシーンでよく使用される「ナレッジ」
続いて、ビジネスシーンでよく使用される、「ナレッジ」を利用した言い回しを見てみましょう。
以下のような表現が、ビジネスシーンではよく用いられます。
- 「ナレッジ」の蓄積
⇒”(経験・体験を通じて得た)知識”を社内やチームなどで蓄積していくこと - 「ナレッジ」の共有 / 「ナレッジ」シェアリング
⇒”(経験・体験を通じて得た)知識”を社員やチームメンバーなどで共有すること - 「ナレッジ」の管理 / 「ナレッジ」マネジメント
⇒”(経験・体験を通じて得た)知識”の管理、管理手法 - 「ナレッジ」ベース
⇒”(経験・体験を通じて得た)知識”をコンピュータ上に集めたデータベース
余談ですが、これら「ナレッジ」の蓄積や「ナレッジ」の共有といった言葉が使用される場合には、特に電子通信技術、すなわち企業ならグループウェアなどを利用して「ナレッジ」の蓄積や共有が行われているイメージが強くなります。
企業において「ナレッジ」の蓄積や共有をするメリットとは?
企業において「ナレッジ」の蓄積や共有をするメリットは、業務内容における問題点の発見や改善、業務内容の効率化、コミュニケーションの円滑化などが見込める点だとされています。
現代においては、職人の徒弟関係のような「知識は師匠の技を目で見て盗め!」的な発想は、非効率的だと考えられているのです。
各種ノウハウのマニュアル化も「ナレッジ」の蓄積や共有!?
企業で日常的に行われている、電話応対の仕方や接客対応の仕方、営業におけるクロージングの手法などといった各種ノウハウのマニュアル化。これらは言語化されていない知識(=「暗黙知」)を言語化された知識(=「形式知」)にしたものです。
この各種ノウハウのマニュアル化も、結果的には”(経験・体験を通じて得た)知識”を社内やチームなどで共有することになるので、広義では「ナレッジ」の蓄積や共有だと言えるでしょう。
「ナレッジ」の具体的な使い方(文例)
「ナレッジ」を用いた具体的な文例を見てみます。
- A社は業務の内容や業務上の問題点、改善点などありとあらゆる項目を早い時期から電子データ化することで、「ナレッジ」の蓄積を行ってきた。
- 個々人が持つ「ナレッジ」を言語化し、データとして蓄積したり共有していくことで、暗黙知を形式知化することが可能となる。
- PDCAを高速で回すためには、チーム内での「ナレッジ」の共有が不可欠だ。
- 「ナレッジ」マネジメントを行うことで、企業は知識の共有化や作業の効率化が期待できる。
- サイト上のFAQも「ナレッジ」ベースのひとつだと言える。
- インターネット上のコミュニティ型Q&Aサイトや、サイトにアクセス可能な誰もが編集に参加できるウィキペディアなどは、「ナレッジ」コミュニティと呼ばれている。
- 歴史学者のマリオン・レヴィは、経済成長の原動力は「ナレッジ」であると述べている。日本では、江戸時代から庶民レベルで識字率が高く、また教育水準も高かったため経済成長が容易であったと考えられている。
このように用いられます。
「ナレッジ」の同義語・類義語
同義語・類義語にはどのような言葉があるでしょうか?
「ナレッジ」に似た言葉には、意味の部分で紹介した「(経験・体験を通じて得た)知識」や「(経験・体験を通じて得た)情報」、それから「形式知(=言語化された知識)」、「ノウハウ(=know-how)」、「ハウツー(=how-to)」などといった言葉もあります。
- 「(経験・体験を通じて得た)知識」
- 「(経験・体験を通じて得た)情報」
- 「形式知(=言語化された知識)」
- 「ノウハウ(=know-how)」
- 「ハウツー(=how-to)」
いずれにせよ、「ナレッジ」という言葉はビジネスシーンでもよく用いられる言葉なので、社会人の常識として意味を知っておきたいところです。
繰り返しますが、くれぐれも knowledge を「【ノウ】レッジ」とは読まないでくださいね!
以上、「ナレッジ」の意味と使い方についての説明でした。みなさんの参考になれば幸いです。
- ナレッジ
(Wiktionary) - ナレッジマネジメント
(Wikipedia) - 知識ベース
(Wikipedia) - 野中郁次郎
(Wikipedia) - 「企業経営において知識が重要となってきているのはなぜか」「組織的にナレッジマネジメントを推進していくためにはどのような活動が必要なのか」
(Yahoo! 知恵袋)
※本記事は2017年10月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。