「先代の社長は、自身に万が一があった際には世襲をせず、創業時から経理を取り仕切っていた専務に全てを任せようという『腹案』を持っていたそうです」……。
このように用いられる「腹案」という言葉。
過去には、鳩山由紀夫元総理が普天間基地移設問題で使用したことでも有名です。
この「腹案」という言葉には、いったいどのような意味や使い方があるのでしょうか?

いやぁ、いい腹案があるんすよぉ
「腹案」の読み方と意味とは?
まずは読み方と意味の確認からしましょう。
「腹案」の読み方は”ふくあん”。
”心の中で考えている計画”や、”表立っては明らかにしていない考え”といった意味を持つ言葉です。
どちらかというと前向きなイメージがあります。
- ”心の中で考えている計画”
- ”表立っては明らかにしていない考え”
例えば次のようなシチュエーション。
Aさん「問題がどんどん大きくなっていますねぇ、このままでは解決策もないし……」
Bさん「いやいや、表立っては明らかにしていませんが、実は『腹案』があるのですよ」
このように用いられます。
Bさん、何かよいアイデアを持っているようですね。
「腹」=”心の中”という意味がある
「腹案」という言葉を考える際には、「腹」=”心の中”、「案」=”計画”と考えるとわかりやすいでしょう。
ちなみに「腹」という漢字を、「腹案」と同様に”心の中”という意味で用いている慣用句の例には次のようなものがあります。
- 腹が立つ
=”怒る” - 腹に据えかねる
=”怒りを心の中におさめておくことができない” - 腹が決まる
=”決心がつく” - 腹が黒い
=”心の中で悪いことを考えている”
いずれも有名な表現ですね。
「腹案」の基本的な使い方
基本的な使い方(基本パターン)も見てみましょう。
基本的には以下のような表現で用いられます。
- 腹案がある
- 腹案を持っている
- 腹案を持ち合わせている
「腹案」を用いた具体的な文例
具体的な文例も見てみます。
- A社の社長は、ベンチャーキャピタルの担当者の前で「新規事業の『腹案』がある」と自信満々に語ったものの、それは追加の投資を引き出すための嘘であった。
- 先代の社長は、自身に万が一があった際には世襲をせず、創業時から経理を取り仕切っていた専務に全てを任せようという「腹案」を持っていたそうです。
- 急逝した有名漫画家のB氏が、連載作品の今後の展開に関してどのような「腹案」を持っていたかについては、編集者もアシスタントも誰一人として知らされていなかったようだ。
- 映画プロデューサーのC氏は、主人公を演じる俳優の病状が悪化した際に備え、何人かの代役候補を「腹案」として持っていた。
- 2010年3月、当時総理であった鳩山由紀夫が自民党総裁谷垣禎一との党首討論において、沖縄県普天間基地の県外移転問題に関して「『腹案』がある」と発言したものの、結局最後まで明かされることはなかった。
このように用いられます。
「腹案」の同義語・類義語
同義語・類義語にはどのような言葉があるでしょうか?
「腹案」に似た言葉には、意味で紹介した「心の中で考えている計画」や「表立っては明らかにしていない考え」、さらには「個人的な考え」、「よいアイデア」、「ウルトラC」などといった言葉があります。
- 「心の中で考えている計画」
- 「表立っては明らかにしていない考え」
- 「個人的な考え」
- 「よいアイデア」
- 「ウルトラC」
いずれにせよ、「腹案」という言葉は、社会人の常識として意味を知っておきたいところです。
以上、「腹案」の意味と使い方についての説明でした。みなさんの参考になれば幸いです。
※本記事は2017年10月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。