職務経歴書では、内容の薄い開発運用の経歴を「PDCAサイクルをまわした」と書こう
ITエンジニアが職務経歴書を書くとき「細かなバグ修正を繰り返しただけで一言で書ける実績がない」職歴の書き方に悩むことがあります。開発でも運用でも、プロジェクトのフェーズによっては、どうしても大量の細かな仕事が中心になってしまうことがあります。 こんなときは「PDCAサイクルをまわした」と書いてみましょう。
転職で職務経歴書を書くとき、ユーザーが増えず止まった事業の経歴をどう書くか悩む方は「アーリーアダプターには受け入れられたが…」と書いてみましょう。
事業として成功できなくとも、先進的な製品やサービスに携わった経歴は転職後に活きるはずです。
「アーリーアダプター」とは、新しい商品やサービスを比較的早い段階で取り入れる人たちのことを指す言葉です。
例えば、iPhoneやiPadなどの最新モデルが発売されたら、真っ先に買って使ってみたいと思う人は「アーリーアダプター」です。
この言葉は英語の「early adopters」から来ています。
「early」は「早い」という意味で、「adopters」は「採用する人」という意味です。
つまり、「早く新しいものを採用する人」ということになります。
この言葉は、1962年にアメリカの社会学者エベレット・M・ロジャースが提唱した「イノベーター理論」において使われました 。
イノベーター理論とは、新しい商品やサービス(イノベーション)が世に出てから広く普及するまでの消費者の購入段階を5つの層に分類した理論です。
その5つの層は次のようになっています。
この理論では、アーリーアダプターは新しい商品やサービスが広く普及するかどうかの鍵を握っているとされています 。
なぜなら、アーリーアダプターは自分が取り入れた結果を積極的に発信する傾向があり、口コミやSNSなどで影響力を持っているからです。
そのため「アーリーアダプターが満足するかが、その後、その製品がヒットし普及するかどうかを決定づけるもの」として注目されました。
「アーリーアダプターが満足するかが、その製品がヒットし普及するかどうかを決定づけるもの」として「イノベーター理論」では注目されたのですが、その後「アーリーアダプター」より広く大衆に浸透しない製品やサービスの事例が多くあると指摘されるようになりました。
例えば「Google Glass」や「Segway」などは、先進的な技術を使った革新的な製品でしたが、一般の消費者には受け入れられませんでした。
つまり「アーリーアダプターが満足すれば、製品がヒットする」とは言えないのではないか、という指摘です。
この問題に向き合う理論の1つが「PMF」です。
「PMF」は、アメリカのソフトウェア開発者であり投資家のマーク・アンドリーセン氏によって提唱されました。 彼は、NetscapeやOpswareなどの有名な企業の創業者でもあります。
彼は、スタートアップが成功するためには、製品が市場に受け入れられることが必要不可欠であると考えました。
つまり、製品と市場の間の「フィット感(Product Market Fit)」が重要だということです。これが「PMF」の考え方の基本です。
さて、このように「アーリーアダプター」止まりの製品やサービスは、失敗であり、そもそもチャレンジすべきではなかったのでしょうか?
もちろん、ビジネスとしては成功しなかったと言えるかもしれませんが、それでも社会には貢献したと考えられます。
例えば「Segway」は、個人用の移動手段としては普及しませんでしたが、その技術は電動スクーターやホバーボードなどに応用されました。
また「Google Glass」は、一般消費者には不要だと感じられましたが、そのコンセプトは医療や教育などの分野で活用されました。
つまり、これらの製品やサービスは、社会にイノベーションを起こすための「種」をまいたと言えるのです。
さて、前置きが長くなりましたが、ユーザーが増えずに止まってしまった製品やサービスに携わっている方も、多いのではないでしょうか?
そういった製品やサービスでは、やがて会社がその事業に見切りをつけると人員が削減され、メンバーは転職活動をすることになります。 転職をするとき、「ユーザーが増えずに止まってしまった」という結果をどう説明すればいいのか、悩む方も多くいるようです。
私がここで強く伝えたいことは「ユーザーが増えずに止まってしまった製品やサービスに携わった経歴も自信をもって職務経歴書でアピールすることが大切」ということです。
なぜなら、その製品やサービスは事業としては成功しなかったかもしれませんが、新しい技術のテーマを生み出したり、後から振り返れば市場のニーズを先取りしていたことも多いからです。
これまで見てきたように、例えば「Segway」は、個人用の移動手段としては普及しませんでしたが、その技術は電動スクーターやホバーボードなどに応用されました。 また「Google Glass」は、一般消費者には不要だと感じられましたが、そのコンセプトは医療や教育などの分野で活用されています。
事業として成功しなくとも、先進的な製品やサービスに携わった経歴は、自分の「チャレンジ精神」や「創造力」を示すことができますし、次のプロジェクトにも役立つ「知見」や「スキル」を身につけたと言えます。
では具体的に「ユーザーが増えずに止まってしまった製品やサービス」の経歴を、転職の職務経歴書にどう書けばいいのでしょうか?
私のおすすめは、「アーリーアダプターには受け入れられたが、一般消費者には普及しなかった」と書くことです。
この表現は、自分の製品やサービスの価値が全くなかったわけではなく、むしろ先進的であったことを強調できます。
さらに、一般消費者には普及しなかった理由も分析しておくと、自分の反省点や改善点を示すことができます。
例えば「マーケティング戦略が不十分だった」「競合製品がすぐに現れてしまった」「タイミングが早すぎた」などです。
私自身も、過去にユーザーが増えずに止まってしまった製品やサービスに携わった経験があります。
そのときは、自分の仕事が無駄だったと思って落ち込みましたが、後から振り返ると、その経験が今の仕事にも活かされています。
ITエンジニアが職務経歴書を書くとき「細かなバグ修正を繰り返しただけで一言で書ける実績がない」職歴の書き方に悩むことがあります。開発でも運用でも、プロジェクトのフェーズによっては、どうしても大量の細かな仕事が中心になってしまうことがあります。 こんなときは「PDCAサイクルをまわした」と書いてみましょう。
スタートアップなどのベンチャーな企業や、企業内の新規事業では、事業の方向性や戦略を変更することを「ピボット」と呼ぶことがあります。もともとバスケットボールで、片足を軸足として動かさず、もう一方の足を動かして自由に動きまわる動作のことです。
「大風呂敷を広げただけ」で終わったプロジェクトは、基本的にITエンジニアのキャリアにとってマイナスでしかありません。ただ「ポテンシャル」という言葉を使って職務経歴書に整理することで、マイナスを軽減できるかもしれません。