スタートアップ投資家が使う「イグジット」の意味、覚え方は?

英語でexitと言うと「出口」ですが、スタートアップ企業や投資家がイグジットと書いた場合は、株式を他社に売却したり株式公開(上場)したりすることを指します。

「イグジット」することで、創業者や投資家は、自分たちが築き上げた会社の経営権の一部を手放す代わりに、多額のお金を得ることができます。

「イグジット」の覚え方

会社を売ることをなぜ「イグジット」呼ぶようになったのか、その起源は諸説あります。

1970年代から1980年代にかけて、アメリカのベンチャーキャピタル(VC)業界がそう呼び始め、この言葉が広まったという説が有力です。

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、アメリカは「インターネットバブル」に湧いており、多くのスタートアップが短期間で急成長し、大手企業が巨額の資金でスタートアップを買収しました。

これらのスタートアップは、自分たちのビジネスモデルや収益性についてあまり考えずに、ただユーザー数や知名度を増やすことに注力していました。

要するに、自分たちの会社を継続的に成長させることよりも、早く高値で売り抜けることが目標になっていました。

そういう意味で、会社を売ることは「イグジット(出口、最終目標)」だったのです。

インターネットバブルが崩壊した後、スタートアップ企業では、自分たちの会社を継続的に成長させることがより重視されることになりました。

そのため、会社を売ることを「イグジット(出口、最終目標)」と呼ぶことに対する批判も一部にはあります。

ただ、少なくとも言葉づかいとして、今でも「会社を売る」ことは「イグジット(出口、最終目標)」と呼ばれています。

創業者はなぜ「イグジット」をするのか?

上に見てきたように、今のスタートアップ企業は「会社を継続的に成長させる」ことがより重視されることになりました。

ただ、現実には「イグジット」するスタートアップ企業は多くあります。

なぜ会社をずっと経営し続ける選択をせず「イグジット」を選択する事例が多いのでしょうか?

それは事業が成長するにつれて、創業者の直面する課題が変わってくることが挙げられます。

例えば、組織の規模が大きくなると、マネジメントやコミュニケーションのスキルが必要になります。 また、市場の競争や変化に対応するため、事業の方向性や戦略を見直す必要があります。 さらに、資金調達や株式公開などの財務的な決断も重要になります。

これらの課題に対処することは、創業者にとって簡単なことではありません。

創業者は、自分たちが作り上げたビジネスに強い愛着や情熱を持っていますが、それがかえって目先の感情や思い入れに左右されることもあります。

また、創業者は、自分たちの能力や経験を超えるレベルの問題に直面することもあります。 その場合、自分たちだけで解決しようとすると、時間やエネルギーを無駄にすることもあります。

そこで、創業者が考える選択肢の1つが「イグジット」です。

「イグジット」することで、創業者は以下のようなメリットを得ることができます。

出資者はなぜ「イグジット」を求めるのか?

一般的な中小企業と違って、スタートアップ企業は外部から出資して(お金を出して)もらい事業を展開します。

出資者は「ベンチャーキャピタル」や「個人投資家」などの場合が多いです。 彼らは出資する見返りとしてスタートアップ企業の「株式」を取得します。

では、なぜ出資者はスタートアップ企業にお金を出すのでしょうか。 それは、将来的にそのお金が増えることを期待しているからです。

スタートアップ企業が成功して大きくなれば、出資者は自分の持っている「株式」も高く売れると考えているわけです。

出資者は、スタートアップ企業がある程度の実績をあげたら、出しているお金を「回収」したいと考えます。

でも、スタートアップ企業はまだ利益が出ていないかもしれませんし、利益が出てもそれを再投資に使い切って、さらに成長したいかもしれません。 そうすると、出資者にお金を返す余裕がありません。

そこで、出資者は「イグジット」を求めます。

「イグジット」すれば、出資者はお金を回収できますし、スタートアップ企業は新たな出資者のもとで再出発することになります。

「イグジット」とは、「出資者の利益を確定」し「事業に区切りをつける」という意味もあるのですね。

「イグジット」の方法

イグジットの方法は主に「IPO」と「M&A」の2種類があります。

IPO(株式公開)

IPO(Initial Public Offering)とは「株式公開(株式上場)」のことで、非公開だった株式を証券取引所で一般に売買できるよう上場することです。

株式を公開した後の株価は、市場のトレンドにより多少の株価の上下はあるものの、一般的に、非公開のときより高値で取引されることが期待されます。

非公開のときより高値で株が取引されることで、創業者をはじめとする出資者は多額の資金を得ることができます。

「IPO」は「M&A」と比べ、以下2つのメリットがあります。

「IPO」に成功した企業としては、海外では「Uber」や「Airbnb」、日本国内では「BASE」や「Sansan」などのスタートアップ企業が挙げられます。

一方で、「IPO」をするためには多くの審査があり、社内体制も作り直さねばならず、それだけで数年かかる場合があります。

そこまで時間をかけて「株式公開」をしようとしても、審査の準備に力を入れているうちに本業の業績が悪化したりバブルが弾けて株式市場が下落したりして、株式公開を中止せざるを得ないケースや公開しても期待どうりに株価が上がらないケースなど、株式公開に「失敗」する事例も多くリスクがあります。

M&A(売却)

M&A(Mergers and Acquisitions)とは「合併や買収」のことで、自社が他の企業に買収されたり、事業を売却したりすることです。 経営権をすべて売却する場合もあれば、一部だけ売却する場合もあります。

売却代金によって、創業者をはじめとする出資者は多額の資金を得ることができます。

「M&A」は「IPO」と比べ、以下のメリットがあります。

「M&A」の代表的な事例としては、海外では「Instagram」や「WhatsApp」、日本国内では「ZOZO」や「SmartHR」などが挙げられます。

一方で、「M&A」をすると、新しい株主の意向によって経営陣の交代がありえるため、創業者は自社の経営権を失う可能性があります。

また、得られる金額は「IPO」に比べて「M&A」のほうが低い場合は多くあります。

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