お役所言葉の典型!?「善処」(「善処します」)の意味と使い方とは?

「『善処』するよう努める」と言っているけれど……

「『善処』するよう努める」「『善処』していきたいと思っている」「『善処』します」……。

このように、かしこまった文章やスピーチで見聞きすることが多い「善処」という言葉。

この言葉には、いったいどのような意味があるのでしょうか?


お役所言葉の典型!?「善処」(「善処します」)の意味と使い方とは?

大丈夫ですよ、ちゃんと善処しときますって


「善処」の読み方と意味とは?

まずは言葉の読み方と意味の確認からしましょう。

「善処」は”ぜんしょ”と読みます。

意味は、”問題に関してほどよく対処や処置をすること”。『広辞苑』では、”物事をうまく処置すること”と定義しています。

「善処」(読み方:”ぜんしょ”)の意味
  • ”問題に関してほどよく対処や処置をすること”
  • ”物事をうまく処置すること”(引用:『広辞苑』第五版)

「善」には”ほどよい”という字義があります。そのため「”キッチリ”と対処する」というよりも「”ほどよく””適度に””うまく”対処する」とイメージするとよいかもしれません。

余談ですが、時代劇でお殿様が家来に向かって言う「よ(善)きにはか(計)らえ」は、”ほどよく対処しなさい”という意味です。

「善処」は、お役所言葉の典型!?

公的機関に対し何らかの要望や要請がなされた際には、「『善処』します」や「『善処』する」と慇懃無礼に回答が行われることが少なくありません。

礼も過ぎれば無礼になる 「なんだか『慇懃無礼』な対応で嫌な感じだった」「過度の敬語の使用は、相手に対して『慇懃無礼』に聞こえることがある」......。 このように様々なシチュエーションでよく用いられる「慇懃...

一般的に、「善処」という言葉はお役所言葉の典型であるとされています。

みなさんも国会中継で国会議員や官僚が、何らかの要望や要請に対して「『善処』していきたいと思っている」や「『善処』するよう努める」などと答弁している場面を見たことがあるでしょう。

そのような回答や答弁を聞くと、みなさんの中には「きっと”キッチリ”と対応してくれるのだろうな」と思う人もいるはずです。

しかし、このように「善処」という言葉が用いられた場合には、”問題に関してほどよく対処や処置をすること”といった意味からもわかるように、公的機関や政治家や官僚は「”キッチリ”と対処する」というよりも、「頑張ってなんとかやるだけやってみます(だけどダメな場合もあるから、その時はゴメンね)」というニュアンスを込めて使用しているのです。

「善処」はお役所言葉の典型
  • 「『善処』するよう努める(キリッ)」
  •   ↓

  • 「頑張ってなんとかやるだけやってみます(だけどダメな場合もあるから、その時はゴメンね)」

お役所言葉の仲間としては「可及的速やかに」というものがありますが、この言葉を用いた回答や答弁の常套句である「『可及的速やかに』対応する」と比べても、どこかしらのんびりとした感じがします。

「可及的速やかに」=”可能なかぎりはやく” 「政府与党は『可及的速やかに』予算委員会を開き、経済問題や日米外交を議論すべきだ」「金融市場の安定化のためには、『可及的速やかに』不良債権処理を行わなければならない」...

ですから、「善処」という言葉が公的機関からの回答や国会議員の答弁で使用された際には、あまり期待しないほうが無難かもしれません(もちろん「頑張ってなんとかやるだけやってみます」の部分は汲み取りたいところです)。

申し入れをする際にも「善処」は使える

私たちが公的機関や議員などに対し、何らかの要望や要請を伝える際にも、「『善処』していただきたい」のように「善処」という言葉が使うケースがあります。

その際には、先ほどとは逆に、「”キッチリ”と対処してください!」というよりも、「頑張ってなんとかやるだけやってみてよ(だけどダメな場合もあるだろうから、その時は理解するよ)」といったニュアンスを込めて使用されていることが少なくありません。

「善処」は使い勝手のよい魔法の言葉
  • 「『善処』していただきたい(キリッ)」
  •   ↓

  • 「頑張ってなんとかやるだけやってみてよ(だけどダメな場合もあるだろうから、その時は理解するよ)」

いずれにせよ、 「善処」という言葉は使い勝手のよい魔法の言葉なのです。

「善処」の使い方(基本パターン)

「善処」の基本的な使い方(基本パターン)も見てみましょう。

「善処」の基本パターン
  • 善処する(します / したい / していきたい / してもらいたい)
  • 善処を求める(望む / 期待する / 訴える / 願いたい)
  • 善処(を)していただきたい
  • 善処(を)していただくよう要望する

このようなパターンで使用されます。

「善処」の具体的な使い方(文例)

続いては具体的な文例です。

「善処」の文例
  • 保育園の増設について、「善処」していただくよう要望しました。
  • 市に対し、今回の問題に対し「善処」していただくよう文書で申し入れを行いました。
  • 本件に関しましては、前向きに「善処」していきたいと考えております。

このように使われます。

「善処」の同義語・類義語

同義語・類義語についても考えてみましょう。

似た表現としては、「(適切な)対応」や「(適切な)措置」あたりが挙げられるでしょう。また「適宜対応する」という表現もあります。

「善処」の同義語・類義語
  • 「(適切な)対応」
  • 「(適切な)措置」
  • 「適宜対応する」

「登山道における観光客のための案内看板等は、『適宜』整備していく予定です」「A電鉄では、乗客の転落防止のため、駅のプラットホームに『適宜』ホームドアを備え付けていく予定だという」......。 このように様々なシチ...

以上、「善処」の意味と使い方についての説明でした。ビジネスパーソンのみなさんの参考になれば幸いです。

「善処」について深く知る参考リンク

※本記事は2016年7月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。