『オートファジーの仕組みの解明』により2016年のノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典(おおすみ よしのり)・東京工業大学栄誉教授。
SNSなどのネット上では、大隅教授のノーベル賞受賞を喜ぶ一方で「栄誉教授」というあまり聞きなれない肩書きに注目が集まりました。
「名誉教授」ならぬ「栄誉教授」。いったいどのような意味があるのでしょうか?

え?栄養ですか?もちろんとってますが
「名誉教授」とは?
まず先に、私たちがよく聞く「名誉教授」の意味の確認からしましょう。
「名誉教授」とは、特に定年退職した教授に対して、勤続年数や功績を基準に授与される称号のこと。
国内の各大学で数多く授与されているため、私たちにとってなじみ深い称号となっています。
学校教育法では以下のように定められています。
大学は、当該大学に学長、副学長、学部長、教授、准教授又は講師として勤務した者であつて、教育上又は学術上特に功績のあつた者に対し、当該大学の定めるところにより、「名誉教授」の称号を授与することができる。
簡単に言えば、現役時代の大学への功績に対して贈られるものが「名誉教授」の称号です。
大隅教授は基礎生物学研究所と総合研究大学院大学の「名誉教授」
大隅教授は、1996年に基礎生物学研究所に教授に就任。2004年からは総合研究大学院大学の教授も兼任します。
そして、2009年に基礎生物学研究所と総合研究大学院大学の教授を退任することとなり、それぞれから「名誉教授」の称号が贈られました。
さらに退任後の同年、今度は東京工業大学に「特任教授」として招聘されます。
東京工業大学の独自の称号である「栄誉教授」
理系の名門国立大学である東京工業大学で、新たに「特任教授」として教鞭をとりはじめた大隅教授。
2014年に東京工業大学から「栄誉教授」の称号が贈られます。
この「栄誉教授」とは東京工業大学の独自の称号であり、特に顕著な功績を挙げた人物に贈られる称号なのだとか。
東京工業大学の「栄誉教授」の称号授与に関する規則は、以下のように定めているそうです。
本学の教授若しくは本学を退職した者又は本学の学士課程の卒業生若しくは大学院修了生のうち、ノーベル賞、文化勲章、文化功労者、日本学士院賞又はそれらと同等の教育研究活動の功績をたたえる賞若しくは顕彰を受けた者。
ちなみに大隅教授は、2014年までに日本学士院賞(2006年)、京都賞(2012年)などといった権威ある賞を受賞しています。
SNSなどのネット上では、「(『栄誉教授』とは)『名誉教授』のバージョンアップなのかな?」といった意見もありましたが、そうであるとも言えるでしょう。
東京工業大学の「栄誉教授」と同様の称号は他の大学にもある
東京工業大学の「栄誉教授」と同様に、特に顕著な功績を挙げた人物に対して贈られる称号は他の大学にもあります。
有名な例は東京大学の「特別栄誉教授」。
東京大学の「特別栄誉教授」は、建築家の安藤忠雄氏やノーベル賞を受賞した物理学者・小柴昌俊氏らに贈られています。
東京工業大学や東京大学以外にも、東京農工大学や大阪府立大学、大阪市立大学などで、同様の称号があるそうです。
いずれにせよ、特に顕著な功績を挙げた人物という点から考えると、「栄誉教授」とは「名誉教授」のバージョンアップと考えて差し支えはないかもしれません。
採用している大学が少ないため聞きなれない称号ですが、知っておいて損はない言葉です。
以上、「栄誉教授」についての説明でした。参考になれば幸いです。
※本記事は2016年10月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。