「国民」と「市民」の意味の違いとは…日本で生まれ育った外国籍の人もいる

新聞やニュースでよく見聞きする「国民」と「市民」という言葉

「日本『国民』として天皇制を支持する」「『市民』団体が国会前で抗議デモを繰り広げた」……。

このように毎日のように新聞やニュースでよく見聞きする「国民」と「市民」という言葉。

私たちは、普段何気なく「国民」や「市民」という言葉を使っていますが、ここでは、それぞれの言葉が持つ意味について再確認したいと思います。


「国民」と「市民」の意味の違いとは…日本で生まれ育った外国籍の人もいる

僕たち地球人!


「国民」と「市民」の基本的な意味とは?

まずは、それぞれの言葉の基本的な意味からチェックします。

「国民」は、基本的に以下のような意味を持ちます。

「国民」(読み方:”こくみん”)の基本的な意味

”その国の国籍を有する構成員”
 ⇒その国の参政権を持つ
 ※その国の国籍を有しない人々は外国人となる

例えば「日本国民」ならば、”日本国籍を有する人”のこと。

一方、「市民」という言葉が意味するところは幅広いのですが、基本的に以下のような意味を持ちます。

「市民」(読み方:”しみん”)の基本的な意味

”市区町村のうち市に住んでいる人”
 (例)「〇〇市の市民」
”(国や)地方自治体の運営に関し、主体的な活動をする人々”
 (例)「市民団体」「市民活動」「市民運動」
”市民階級の人々”
 (例)「市民社会」

①に関して言えば、日本国内に居住する大多数の人は日本国籍を持ち、さらに市に住んでいます。つまり大部分の日本人は「国民」であると同時に「市民」でもあるわけです。

また、②の意味で用いられる「市民」は、(国もしくは)地域が抱える問題に自発的に取り組み、場合によっては政治的な活動に参加する人々を指します。

日本で生まれ育った外国籍の人もいる

ところで、ビジネスパーソンのみなさんが「国民」という言葉を使用する際には、少し考えてもらいたいことがあります。

それは、普段、私たちは「国民」という言葉を何気なく使っていますが、日本に住む人々の中には、日本国籍を持つ人々だけでなく、外国籍を持つ人々も存在するのだということ。

みなさんの大切な友人や知人、あるいは職場の同僚や取引先の中には、日本で生まれ育ち、日本語を話し、日本人風の顔だちをしているものの、実は台湾籍、中国籍、韓国籍、朝鮮籍なんだよという人も少なくありません(他にもアメリカやヨーロッパ諸国、中東諸国、アジア諸国、アフリカ諸国の国籍を有している人もいるでしょう)。

そんな彼 / 彼女らの中には、「国民」、特に「日本国民」という言葉を聞いて、疎外感を感じる人がいるのも事実なのです。(もちろん文脈にもよりますが)「国民」や「日本国民」という言葉を用いる際には、そのあたりのことも心に留めて使いたいものです。

人気プロレスラー・長州力さんのエピソード

参考として、人気プロレスラー・長州力(ちょうしゅう りき)さんのエピソードを紹介したいと思います。

長州力さんは在日韓国人二世として山口県徳山市で生まれ、韓国籍として育ちました(2016年に日本へ帰化)。著書では、幼少期から国籍に関する苦悩や葛藤があったと語っています。

高校時代にはアマチュアレスリングで活躍、インターハイ73kg級では準優勝、国体フリースタイル75kg以上級では優勝と輝かしい成績を残しました。

そんな長州力さんの国体(「国民」体育大会)出場時のエピソードです。

長州力さんのエピソード

当時、国体に出場するには日本国籍が必要だった。しかし、その直前に行なわれたインターハイで惜しくも準優勝だった彼に”日本一”の称号を与えてやりたいと考えた、当時レスリング部監督の江本孝允は長州力の長兄に彼の帰化を提案。だが、帰化はできずに終わる。(中略)結局、監督は彼が韓国籍であることを知らなかったということにして、国体への出場を強行。そして、長州力は監督の思いに応えるように見事優勝を果たす。

引用元:「長州力が在日朝鮮人として生きてきた苦悩や葛藤を告白」(ライブドアニュース 2015年8月6日)

当時の国体は、仮に日本で生まれ育ったとしても、日本国籍を持たずに外国籍を持つ選手に対して門戸を開いていませんでした(現在では日本の永住権を持つ選手は参加可能)。つまり「国民」体育大会の正式名称が示す通り、日本国籍を持つ「国民」しか参加できなかったのです。

王貞治さんは国体(「国民」体育大会)に参加できなかった

ちなみに国体には、世界のホームラン王・王貞治さん(中華民国=台湾籍)も参加できませんでした。

果たして、日本で生まれ育った長州力さんや王貞治さんは、どのような気持ちで国体(「国民」体育大会)という言葉を見つめていたのでしょうか。

いずれにせよ、「国民」という言葉を用いる際には、私たちの大切な友人や知人、あるいは職場の同僚や取引先の中に、「日本国民」の範疇に入らない人もいるかもしれないということを、頭の片隅に置きつつ使用したいものです。

「国民」と「市民」、それぞれの言葉を好む人のイメージ

ところで、この「国民」と「市民」という言葉、どちらの言葉を好んで用いるかによって、その人の政治的な志向がわかってしまいます。

すなわち、(文脈にもよりますが)普段の会話の中で「国民」という言葉の使用を好む人は、どちらかというと保守(右翼)的思想を持つ人であり、一方、「市民」という言葉の使用を好む人は、どちらかというとリベラル(左翼)的思想共産主義的思想を持つ人だということです。

余談ですが、政治家ならリベラル(左翼)政党に所属する議員は、「国民」よりも「市民」という言葉を好んで用いますし、ニュースで「『市民』団体が国会前で抗議デモを繰り広げた」と報道されれば、リベラル(左翼)的な思想を持つ人たちが活動しているのだなと、容易に想像することができます。

「国民」と「市民」という言葉、それぞれの言葉を好む人のイメージを見てみましょう。

「国民」という言葉を好む人のイメージ
  • どちらかというと保守(右翼)的思想を持つ人
  • 国家というものを強く意識する
  • 天皇制には賛成
  • 式典では国旗を掲げたり国歌演奏時に起立するべきだと考える
  • 「君が代」が好き
  • 「大和魂」「我慢」といった言葉も好き
  • ※あくまで当サイトの主観です。あらかじめご了承ください。

「市民」という言葉を好む人のイメージ
  • どちらかというとリベラル(左翼)的思想共産主義的思想を持つ人
  • NO BORDER 、国境のない世界を志向する
  • 天皇制にはどちらかというと反対
  • 式典では国旗を掲げたり国歌演奏時に起立する必要はないと考える
  • ジョンレノンの「イマジン」が好き
  • 「地球人」「地球市民」といった言葉も好き
  • ※あくまで当サイトの主観です。あらかじめご了承ください。

まとめ

ここまでの内容をまとめます。

まとめ
  • 「国民」とは、”その国の国籍を有する構成員”のこと
  • 「市民」が意味するところは幅広い
  • 「日本国民」という言葉を聞いて、疎外感を感じる人もいる
  • 「国民」という言葉を好む人は、保守(右翼)的思想を持つ人である
  • 「市民」という言葉を好む人は、リベラル(左翼)的思想や共産主義的思想を持つ人である

いずれにせよ「国民」と「市民」という言葉は、新聞やニュースでもよく用いられる言葉なので、それぞれの言葉が持つ意味を知っておきたいところです。

以上、「国民」と「市民」の意味についての説明でした。みなさんの参考になれば幸いです。

「国民」と「市民」について深く知る参考リンク

※本記事は2017年11月時点の情報を元に執筆されたものです。あらかじめご了承ください。